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経営タイムス No.2719 (2004年4月22日)

国際会計基準で共同声明発表

−日本経団連、欧州産業連盟、統一化の動きに対処


日本経団連と欧州産業連盟(UNICE)は20日、国際会計基準に関する共同声明を発表した。同共同声明は、国際会計基準審議会(IASB)が進めている世界の会計基準の統一化への動きに対処する必要があるとの共通認識の下、(1)会計基準の基本的概念 (2)IASBのガバナンスの改善 (3)会計基準の相互承認の必要性――についてとりまとめたもの。日本経団連では今後、同共同声明の趣旨について、金融庁や外務省、経済産業省、日本公認会計士協会、さらに、欧州委員会(EC)当局や欧州各国の当局・経済団体、IASBに働きかけることとしている。同共同声明は次のとおり。

1.会計基準に関する基本的概念

IASBで現在進められている会計基準の検討は、現行基準の基本的概念の大幅な変更につながりかねないが、こうした変更は、財務諸表作成者、利用者、監査人、市場監視当局からの明確なニーズに裏打ちされたものではない。特に、「業績報告(包括利益報告)」「金融商品の全面時価会計」「退職給付会計の見直し」等において、IASBに全面時価主義を採用する意図が見られることを懸念している。
利用者や作成者のニーズや、根本的な概念の変更に伴う経済的影響を精査することなく、全面時価主義的な考え方を採ることには、理論面および実践面での問題もはらんでおり、経済界は、断固として反対する。基準設定にあたって、IASBは市場参加者の声に耳を傾けるべきである。

2.国際会計基準審議会(IASB)のガバナンスの改善
<国際会計基準委員会財団(IASC Foundation)の見直し>

現時点において、作成者のみならず、監査人、財務諸表利用者、政治家を含めた世界中が、IASBに対する不満を表明している。
IASBが真の国際組織として認知され、そのガバナンスを改善し、会計基準作成にあたっての検討プロセスを見直す必要がある。具体的には、IASBが作成した基準が各市場で受け容れられるために、市場関係者の意見を適切に汲み上げる体制の構築が不可欠である。
IASBの運営母体である国際会計基準委員会財団(IASCF)においては、2004年2月11日を締め切りとして、運営規則である定款の見直しに関するパブリック・コメントを募集していた。我々は、その改善にあたって有用な貢献を行い、IASBが国際機関たるにふさわしい組織となるよう、定款の見直しに対してもコメントを提出した。IASCFにおいては、これらに沿った形で定款変更が行われることを強く望む。

3.会計基準の相互承認の必要性

資本市場のグローバル化を踏まえると、財務諸表の比較可能性を確保するために、会計基準を収斂させることには全面的に賛成する。
一方、国・地域ごとに異なる市場構造や会計基準を取り巻く法規制等を前提とすれば、2005年までの短期間にこれを達成することは困難である。
国際的な単一の会計基準を共有するという目的を達成するために、欧州と日本は、公共の利益に資する国際的な会計基準の策定に努力すべきであるが、現状を踏まえ、収斂を達成する前の中間的段階として、相互承認の実現に向けて協力する。


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