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経営タイムス No.2720 (2004年4月29日)

WTO貿易円滑化ルール早期策定を

−貿易手続き簡素化など/日本経団連が提言発表


日本経団連は20日、「WTO貿易円滑化ルールの早期策定を求める」と題する提言を発表した。

WTO(世界貿易機関)は、投資や競争政策、政府調達透明性と並ぶ新分野として、貿易手続きの簡素化・明確化を行い、市場アクセスの実効性を高める貿易円滑化ルールの策定をめざしている。

これに対して日本経団連は、今年1月発表の提言「WTO交渉の再活性化に向けて」等で、WTOにおける貿易円滑化ルールの交渉開始と期限内合意を強く求めてきたが、未だ交渉開始には至っていないことから、今回あらためて具体的要望を付した提言を発表することとした。

提言のポイント

同提言のポイントは次のとおり。

1.WTO貿易円滑化ルールのあり方

  1. WTOにおいて、貿易円滑化ルール策定に向けた交渉が立ち上がり、シングルアンダーテイキング(一括受託)の不可欠な一部分として、今次ラウンド交渉の期限内に合意されることを強く求める。

  2. 当該ルールは、透明性や簡素化、標準化等の諸原則を基本とし、全加盟国の参加の下、貿易に係る手続きを広く対象とすべきである。昨年9月のカンクン閣僚会議におけるデルベス議長案にあるとおり、通過の自由に関する規定であるガット第5条、輸出入に関する手数料・手続きに関する規定であるガット第8条、貿易規則の公表および施行に関する規定である第10条の明確化および改善に主眼を置くことが求められる。

  3. 途上国も、積極的にルールの策定に向けて尽力すべきことを前提とするが、他方、途上国におけるインフラや人材の不足も考慮し、キャパシティ・ビルディングを並行して進めるべきである。さらに、キャパシティ不足による義務の不履行に対する紛争解決手続きへの付託については、柔軟性を持って対応することが必要である。

2.貿易円滑化に向けた重層的取り組み

貿易円滑化については、アジア太平洋経済協力会議(APEC)や世界税関機構(WCO)等においても取り組みが進められていることから、マルチラテラル、リージョナル、バイラテラル等、貿易円滑化に向けた取り組みを重層的に進め、それらを相互補完的かつ戦略的に活用することが重要である。

3.わが国における貿易手続きの改善

WTO新ラウンド交渉の中で、わが国政府が貿易円滑化ルール策定において強いイニシアチブを発揮するためにも、わが国自身の貿易手続きの改善を率先して推進することが必要である。それは、高コスト構造体質の改善、外国企業による対内投資の促進につながる。


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