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経営タイムス No.2723 (2004年5月27日)

構造改革特区制度改善へ

−日本経団連が「中間論点整理」とりまとめ/8項目の具体的方策提案


構造改革特区制度に関する8つの改善提案の概略図 日本経団連(奥田碩会長)の行政改革推進委員会(出井伸之委員長、草刈隆郎共同委員長)は17日、「構造改革特区制度の改善に向けた中間論点整理」をとりまとめた。同報告書は、構造改革特区構想の提案者である地方自治体・企業等に代わって特区推進室が規制所管省庁との折衝を行うとともに、構想の提案や認定申請に先立って助言するなどのきめ細やかな行政サービスの提供や、情報公開の徹底による政策決定の透明性の向上など、特区制度にビルトインされた行政の仕組みを高く評価する一方、特区構想の提案件数や実現した規制改革の件数に一時期の勢いがないとの指摘があることに言及。企業による制度の活用状況を分析するとともに、企業にとって制度活用のメリットが多いことを強調、制度の利便性を高める観点から、3分野8項目の具体的な改善方策を提案している(図表)。提案内容の概要は次のとおり。

1.全国規模の対応とされた項目の取り扱いの見直し

スピード感ある規制改革実現が特区制度活用の大きなメリットのひとつにもかかわらず、提案の結果、特区での実施状況の評価を待たずに全国規模の規制緩和を行うとされた場合、現行制度では特区制度のプロセスから外れ、通常の法改正等のプロセスを経るため、時間がかかることがある。
全国規模の対応となるものについても、特区制度のプロセスから外すのでなく、先行して規制の特例措置を認めるべき。

2.対等な競争条件の確保

特区における株式会社立大学設置の例など、規制の特例措置で株式会社が新規参入しても、既存の事業主体との間で対等な競争条件が確保されていないことがある。
運営主体のいかんを問わず、イコールフッティングを図るべきである。

3.企業等による特区認定申請の容認

特区構想の提案は誰でも行えるが、特区計画の認定申請は地方自治体しかできないため、自治体が制度の活用に前向きでない場合、事業を実施できる地域の選択肢が減少する問題がある。
民間企業等であっても、特区計画の認定申請をできるような制度の整備を図る必要がある。

4.規制所管省庁による回答の明確化

提案された規制改革要望に対する所管省庁の回答のうち、「現行法制下で対応可能」という趣旨の回答が3割近くあるが、対象範囲が限定されていたり、関連する他の規制が問題となって提案内容そのものの実現が難しい事項も多く含まれている。
「現行法制下で対応可能」とするものは、提案者の要望内容が提案どおりに実現できるものに限定して通知等によりその旨を公告すべきである。

5.提案者による2回の反論機会の確保

特区制度は、提案募集開始から政府の対応方針が決定されるまでの期間が約4カ月程度と短く、スピード感ある規制改革の推進を可能としている点は評価できるが、提案者自身が省庁からの回答に対して意見を述べる機会は一度しかない。
提案者側に多少の時間的猶予を持たせつつ、反論を述べる機会を増やすべきである。

6.ホームページの改善

提案された特区構想に関する規制所管省庁との折衝状況等は、特区推進本部のホームページ等で徹底した情報公開が図られている一方、膨大な公開情報の中、利用者が必要とする情報が埋没しがちで、有効利用しやすい状況となっていない。
利用者の目的に応じた掲載方法の区分けや情報検索機能を付すなど、利便性向上を図るべき。

7.弊害予防措置の見直し

既に認められた規制の特例措置の中には、弊害を未然に防ぐための予防措置が講じられているケースがあり、そうした措置のために利用が進まない特例措置がある。
特区推進本部の評価委員会が利用の進まない特例措置について調査し、弊害予防措置が円滑な事業展開を阻害していると判断した場合、迅速に当該措置を見直すべき。

8.ニーズがありながら実現困難な提案の取り扱いの改善

特に社会的規制などの分野の特例措置を求める提案に対し、規制所管省庁は同様の趣旨の回答を繰り返すのみで、問題の解決に向けた進展が得られないケースがある。
強いニーズがあるにもかかわらず進展が得られない項目は、規制所管省庁の回答内容を評価し、特区推進本部へ意見具申できる権能を評価委員会に与えるべきである。


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