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経営タイムス No.2723 (2004年5月27日)

企業の通信サービスニーズで調査報告書

−日本経団連、企業ユーザーのIT利活用促進に向けた課題とりまとめ


日本経団連の情報通信委員会通信・放送政策部会(前田忠昭部会長)は14日、「企業の通信サービスニーズに関する調査報告書」を発表した。同報告書は、企業ユーザーの立場から、通信ニーズと現実の通信サービスのギャップを把握するため、昨年末に日本経団連理事会社を対象に通信サービスニーズに関するアンケート調査をまとめたもの(回答社数154社)。それによると、企業ユーザーと通信事業者との間には、通信料金など通信サービスの水準をめぐり、大きな認識のギャップがあることが明らかになった。日本経団連では今後、企業ユーザーのIT利活用推進のため、このギャップを具体的に埋めていく取り組みを行い、必要な改善策を関係各方面に働きかけていくこととしている。

日本経団連はこれまで、企業ユーザーをはじめとする利用者が低廉で多様なサービスを享受できるよう、規制改革等の働きかけを行ってきた。世界最先端のIT国家の実現を目標とするe−Japan戦略の下で、家庭向けのインターネットは、競争的な市場環境の中で、世界的にも最も高速で安価なサービスが実現している。一方、企業ユーザー向けのサービスの現状については、これまで十分な調査や評価がなされてこなかったことから、同調査を実施した。

調査内容は、企業が通信ネットワークを活用する上で、(1)達成したい戦略、目標 (2)有線・無線系のデータ通信および音声サービスごとの重要度と満足度 (3)ネットワークサービス以外の課題 (4)ネットワークサービスの問題により効果が得られなかった事例――など。調査結果をみると、多くの企業ユーザーが、(1)生産性の向上 (2)従業員の能力向上 (3)グローバルな事業展開 (4)新しいビジネスモデル、製品、サービスの実現・開発への対応――などに通信ネットワークを戦略的に活用したいと考えていることが明らかになった。また、活用にあたっては「有線系通信データサービス」を最重視しており、通信サービスに求める要素では「通信料金」「運用コスト」「セキュリティ対策」を重視している。

一方、通信サービスに対する企業ユーザーの満足度では、料金も品質も満足する水準に達していないため、ITの利活用で期待する効果が得られていない事例が多かった。
特に、国内外の専用線、アクセス回線の料金については、個人向けのブロードバンドサービス等と比較して高いと指摘している。また、有線系データ通信サービスにおいては、業種や規模を問わず、企業ユーザーは速度に見合った通信料金を求めていることがわかった。

調査結果について、通信事業者からも意見等を聴取したところ、海外と比べても遜色のない通信サービス料金の水準であることや、企業ユーザー向けのサービスは高い品質が求められるため、料金が高くなることについて、企業ユーザー側の理解を求めるコメントなどが寄せられた。


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