日本経団連タイムス No.2728 (2004年7月1日)

厚労省研究会が均等促進で報告書発表

−日本経団連、人事労務管理委で対応へ


厚生労働省の男女雇用機会均等政策研究会(座長=奥山明良・成城大学教授)は6月22日、検討結果を報告書としてまとめ、発表した。

同研究会は学識経験者8名で構成。1985年に成立し、1997年に改正された男女雇用機会均等法の残された課題である、(1)男女双方に対する差別の禁止 (2)妊娠・出産等を理由とした不利益取り扱い (3)間接差別の禁止 (4)ポジティブ・アクションの効果的推進方策――の4項目について、どのように男女均等の実現を促進していくかという観点で、2002年11月から検討を行ってきた。

同報告書では、「女性に対する差別禁止を男女双方に対する差別禁止とすること」について、女性のみの保護という福祉的な色彩からの脱却、賃金格差の縮小など実質的な男女平等推進への期待、男性への差別禁止の明確化による男性側の共感などから、意義があると整理している。
さらに、仮に男女双方に対する差別を禁止した場合、現行法第9条で規定する特例措置(男女の均等な機会と待遇確保の支障となっている事情を改善する目的で行う女性のみ・女性優遇措置)について、男性もその対象とするのか、対象とする場合にはその許容される範囲をどうするのかの検討が必要としている。

「妊娠や出産等を理由とする不利益取扱い」を検討するに当たっては、日本における裁判例の動向や諸外国の法制などを踏まえ、(1)諸外国では解雇以外の不利益取り扱いについても規制していること (2)育児・介護休業法とバランスをとる必要があること (3)産休後に原職または原職相当職復帰に合理性ありと考えられること (4)法による保護のある産休や母性保護措置、母性健康管理措置と一般の疾病等による労働不能とで差を設けることも合理性があると言えることから社会的コンセンサスを形成していく必要があること――などに留意すべきとしている。

「間接差別の禁止」については、まず、間接差別の概念を、「外見上は性中立的な規定、基準、慣行等が、他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与え、しかもその基準等が職務と関連性がない等、合理性・正当性が認められないものを指す」としている。その上で、間接差別を検討するに当たって留意すべきこととして、(1)諸外国においては何らかの法規制を行っている (2)間接差別法理の理解の徹底が必要である (3)間接差別に該当する可能性があるかについてイメージを示して予測可能性と法的安定性を高めることが必要である――などの点を指摘している。

「ポジティブ・アクションの効果的推進方策」に関しては、男女双方を対象にした、幅広く多様な手法が含まれることへの理解促進の重要性、規制手法には費用対効果を上げる工夫の必要性、奨励的な手法に実効性を持たせるには企業へのインセンティブ付与の工夫の重要性などに留意すべきとしている。

厚生労働省は同報告書を受けて、今後、労働政策審議会雇用均等分科会において男女雇用機会均等のさらなる推進方策を検討していく意向。
これに対して日本経団連は、人事労務管理委員会(安西邦夫委員長)で対応を協議していくこととしている。

【労働政策本部雇用・労務管理担当】
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