日本経団連タイムス No.2740 (2004年9月30日)

第19回日タイ合同貿易経済委員会開く

−高レベルの包括的経済連携協定、早期締結を求める共同声明採択


日本経団連の日タイ貿易経済委員会(安居祥策委員長)とタイ商業・工業・金融合同常任委員会(会長=プラパット・ポティボラクン・タイ工業連盟会長)は16、17の両日、東京都内で「第19回日タイ合同貿易経済委員会」を開催した。同委員会は、現在政府間交渉中の日タイ経済連携協定(JTEPA)について意見を交換。その結果を、高いレベルの包括的な経済連携協定の早期締結を求める共同声明として採択し、閉会後に、安居委員長やプラパット会長らが、細田博之内閣官房長官や川口順子外務大臣(当時)、亀井善之農林水産大臣(当時)を訪問、共同声明を建議した。

同委員会には、日本代表団として、日タイ貿易経済委員会の安居委員長ら45名、タイ代表団として、タイ商業・工業・金融合同常任委員会のプラパット会長ら18名が出席。16日午前のセッションでは、JTEPAの交渉の現況と課題等について、両国の首席交渉官である藤崎一郎外務審議官、ピサン・マナワパット外務副次官から説明を聞いた。昼食会には中川昭一経済産業大臣が来席、「JTEPAの締結に向けて、今回の委員会のような機会を通じて両国の理解を深めることが重要」とあいさつ、参加者と懇談した。

午後のセッションでは、貿易や投資・サービス、ビジネス環境の整備などJTEPAの主要な分野に関する民間の考え方と期待について、意見交換を行った。
この中で日本側は、(1)物品の貿易は、両国の国際競争力を強化するために、JTEPAで鉱工業品のレベルの高い自由化を実現すべき (2)投資・サービスは、両国投資関連法の一層の自由化とともに、製造関連サービスが重要 (3)ビジネス環境の整備は、日々の事業活動において政府規制によって生じるさまざまな問題を解決するためのメカニズムを両国で確立することが必要 (4)農産品については両国の生活の質、農業者の所得、消費者利益の向上を図るべく、必要な二国間協力と自由化を適切にバランスすべき――であることなどを指摘・強調した。

これに対してタイ側からは、(1)日タイ間の経済協力を強化するために鉱工業品と農産品双方を自由化する (2)タイでのキャパシティ・ビルディング(能力構築)の向上に十分配慮し、金型工業や農業などさまざまな分野における技術協力を行う (3)日タイ間だけでなく、第三国との貿易・投資の促進を図るため非関税措置を一定期間内に廃止する――ことなどの意見が出された。
さらにタイ側は、日本のコメ市場の開放、金型工業の発展、ヘルスケア・サービスの促進などに向け、JTEPA交渉の過程で、日タイの民間セクターが取り組むべき協力分野に関して、具体的な提案を行った。

こうした意見交換を受けて両国代表団は、JTEPA交渉を加速させるために、両国の民間セクターの相互理解推進に向けて、個別分野における協議を引き続き行うことで合意した。
翌17日午前のセッションでは、タイにおける日本人商工会議所の活動等の報告があった。

これら2日間にわたるセッションを踏まえ、両国代表団は、レベルの高い包括的経済連携協定の早期締結を強く求める「第19回日タイ合同貿易経済委員会共同声明」を採択、両国首脳や関係方面への働きかけを協力して進めることで合意した。

閉会後、安居委員長やプラパット会長らが、細田官房長官や川口外相(当時)、亀井農水相(当時)を訪問、採択した共同声明を建議した。各閣僚からは、「日タイ両国の経済関係を強化するために、精力的に交渉を進めていく」等の発言があった。

【国際経済本部アジア・大洋州担当】
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