日本経団連タイムス No.2743 (2004年10月21日)

ダイス・スイス大統領招き昼食懇談会


日本経団連は13日、東京・大手町の経団連会館でスイス連邦のジョゼフ・ダイス大統領一行との昼食懇談会を開催した。スイス側からはダイス大統領はじめ、ルヴェルダン駐日スイス大使、レディング連邦経済省二国間経済通商局長、フォースター・エコノミースイス(スイス経団連)会長らが、日本経団連からは佐々木元ヨーロッパ地域委員会共同委員長、紿田英哉ヨーロッパ地域委員会企画部会長らが出席した。

冒頭にあいさつした佐々木共同委員長は、スイスが欧州各国と密接な関係を維持しながらもEUに加盟せず、独自の路線を歩んでいることに言及した上で、EU拡大など欧州情勢が大きく変転する中で、今後どのようにスイスの舵取りをするのかを問いかけた。
また、WTO新ラウンドにおいて、「日本を含めた農産品輸入国の集まりであるG10をリードし、(今年7月末の)枠組み合意の実現に大きく貢献された」と述べ、国際社会におけるダイス大統領のリーダーシップを高く評価した。

これを受けてダイス大統領はまず、日本の景気が回復基調にあることに歓迎の意を表わすとともに、ここ10年ほど景気後退に直面しているスイスが、そこからの脱却のために講じている市場強化策や経済改革プログラムを説明した。
このうち、経済改革プログラムについては、(1)EUとの協調 (2)多国間の協調 (3)二国間の協力関係強化――という3本柱からなっているとした上で、EUには非加盟ながらも、EUとの「経済統合」を自由貿易協定(FTA)の活用によって促進していると語った。
また、多国間の協調については、ダイス大統領が亀井善之前農水相とともにG10閣僚会合を主導し、WTOの新ラウンド推進に成功したことを紹介。
二国間の協力関係強化については、スイスが現在7カ国と二国間協定を締結し、9カ国との二国間協定発効に向けて努力していることを明らかにした。

さらにダイス大統領は、スイスと日本の二国間の協力関係強化についても言及し、日本とのFTA締結に向けて意欲を示した。その上で、日本からスイスへの海外直接投資(FDI)が、スイスからのFDIに比べて半分に満たないことから、その促進を提唱した。
最後にダイス大統領は、両国の人的交流の拡大のために、日本経団連がミッションを早期に派遣するよう提案した。

【国際経済本部欧州担当】
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