日本経団連タイムス No.2744 (2004年10月28日)

ハロネン・フィンランド大統領と懇談

−魅力的投資環境を強調/ハロネン大統領、日本企業へアピール


日本経団連は22日、東京・大手町の経団連会館で、フィンランド共和国のタルヤ・ハロネン大統領との昼食懇談会を開催した。昼食懇談会には、フィンランド側からハロネン大統領はじめレヘトマキ外国貿易・開発協力担当相、メンカレ社会保健相、サロヴァーラ駐日大使、フィンランド産業連盟のランタネン会長らが、日本経団連からはヨーロッパ地域委員長を務める米倉弘昌副会長、西室泰三副会長、紿田英哉ヨーロッパ地域委員会企画部会長らが出席した。

懇談会の冒頭、米倉副会長は、5月にEU拡大が実現し、6月に欧州憲法条約が採択されたことなどを挙げた上で、こうした欧州情勢の変化について、フィンランドがどう把握し、どう対応していくか伺いたいとあいさつした。

これに対してハロネン大統領は、フィンランド経済は、(1)国際貿易に大きく依存している (2)対外直接投資の対GDP比が世界平均の2倍に達している (3)海外で働く国民が多い――ことなどが特徴であるとし、こうした部分については、同国がグローバリゼーション進展の恩恵を受けているとの見方を示した。
一方、フィンランドが直面している課題として、(1)国際競争力の強化 (2)生産性の向上 (3)労働力不足と失業という相反する現状の改善――などを指摘、これらの解決のためには教育水準の一層の高度化が重要であることを強調した。
また、日本とフィンランドの関係ではまず、ITを活用した健康福祉機器の研究・開発を両国協同で進めている「仙台プロジェクト」の充実を呼びかけた。さらに、フィンランドが、規制の障壁が低く、国民の教育水準が高い上に、世界銀行などから投資環境の整備状況が世界一との評価を受けていることから、日本企業の投資先として、フィンランドが魅力的な存在であることをアピールするとともに、こうした面で両国のパートナーシップがさらに強固なものになるとの期待感を示した。
また、ハロネン大統領は、2006年9月に同国の首都であるヘルシンキで、「アジア欧州会合(ASEM)首脳会合」と「アジア欧州ビジネスフォーラム(AEBF)」を同時に主催すると述べ、「日本の積極的な参加を得て、両会合を成功に導きたい」と語った。

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仙台プロジェクト=フィンランド健康福祉センタープロジェクトのこと。仙台市とフィンランド政府が共同で、ITを利用した健康福祉機器の研究・開発のためのセンターを、仙台市郊外に建設し、複数のフィンランド企業が進出、地元の企業や大学と共同事業を行う。2005年3月に完成の予定。

【国際経済本部欧州担当】
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