日本経団連タイムス No.2745 (2004年11月11日)

観光委員会が発足

−データに基づいた観光戦略構築など、活動基本方針を提示


日本経団連の観光委員会(江頭邦雄委員長)が10月26日、東京・大手町の経団連会館で第1回会合を開催した。初となる今回の会合には委員約130名が出席し、鷲頭誠・国土交通省総合観光政策審議官から、「わが国の観光の現状と観光立国に向けた取り組み」と題する講演を聴取したほか、同委員会の基本方針や活動計画、検討課題、また同委員会の下部組織として企画部会(宇佐美皓司部会長)を設置することなどを提示し確認した。

「観光立国」具現化へ

―鷲頭国交省審議官、活動へ大きな期待感示す

会合ではまず、来賓の鷲頭審議官がわが国の観光に対する政府の施策を紹介。小泉総理が掲げる「観光立国」を具現化するために、(1)街づくり交付金の交付による景観整備 (2)地域のブランドづくり (3)観光の専門家の養成――など、さまざまな取り組みを行っていると述べた。その上で、今後の観光振興の方向性について、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の高度化や「観光ルネサンス事業」の創設などを挙げて具体的に説明した。最後に鷲頭審議官は、「日本経団連が民間の立場から観光振興に取り組むことになり大変心強い」と同委員会の今後の活動への期待感を述べるとともに、「政府としても情報提供をしつつ、連携していきたい」と観光振興に向けた意欲を語った。

続いて江頭委員長が、同委員会の活動基本方針として、(1)各種の統計・データに基づいた観光戦略の構築 (2)各地域・ブロック間の競争による活性化の促進 (3)観光行政に携わる省庁、自治体間の連携強化 (4)国を挙げてのホスピタリティの醸成――などを提示。それらに基づいて、わが国の観光振興に向けた産業界の提言をとりまとめ、関係方面にその実現を働きかけていくことなどを確認した。

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日本経団連は、観光は単なる旅行業やホテル業のみならず、輸送業(航空・客船・鉄道等)や食品産業、製造業、農林水産業、またエンターテインメント・コンテンツといった広汎な分野の産業と密接に関連し、その振興は経済活性化の起爆剤となるとの認識から、2000年10月に「21世紀のわが国観光のあり方に関する提言」を発表している。加えて観光振興を通じて、(1)景観形成や活気ある魅力的な街づくりの推進 (2)外国人観光客の誘致を含む国際的な人的交流の活発化 (3)地域の個性を活かした産業振興――の契機となることが期待されていることから、日本経団連は今般、同委員会を新設。今後、同委員会は、下部組織である企画部会を中心に、各方面の有識者からのヒアリングや論議を重ねて論点を整理し、提言のとりまとめを行う予定。

【産業本部国土担当】
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