日本経団連タイムス No.2753 (2005年1月27日)

四国地方経済懇談会開く/四経連と共催

−四国のダイナミズム発揮と産業経済活性化に向け論議


日本経団連(奥田碩会長)と四国経済連合会(近藤耕三会長)は19日、徳島市内のホテルで「第41回四国地方経済懇談会」を開催した。懇談会には、奥田会長や西室泰三副会長、柴田昌治副会長、西岡喬副会長、米倉弘昌副会長、高原慶一朗評議員会副議長ら日本経団連首脳、大西淳副会長はじめ四国経済連合会会員など約140名が参加。「四国のダイナミズムの発揮と産業経済の活性化に向けて」を基本テーマに、日本経済と四国経済が抱える諸課題について討議した。また、懇談会に先立って日本経団連は、点滴液や医療用プラスチック容器などの研究・開発および製造の世界的トップメーカーである大塚製薬工場の松茂工場を視察した。

開会あいさつで四経連の大西副会長は、「わが国の発展のためには、生き生きとした地方の創生が不可欠である」とした上で、四経連として、地域自立の意識をさらに高めながら地域間の連携を進め、四国の力を集めて活性化に取り組んでいくとの意向を示した。

■活動報告

第1部ではまず、日本経団連側から、西室副会長が「税制改正をめぐる動き」、西岡副会長が「観光振興への取り組み」について報告した。

続いて四経連側から、三木俊治副会長が基調報告を行い、技術革新によって産業競争力を強化することが必要であり、産学官が連携して付加価値の高い商品や技術を開発する取り組みが、その鍵を握っていると指摘した。

次に、梅原利之副会長が、四国の観光産業について地域の個性を活かした取り組みが活性化しているとしたほか、野球の四国独立リーグやサッカーの「徳島ヴォルティス」のJリーグ入りなどのスポーツイベントが四国活性化の起爆剤となるよう期待感を示した。

最後に山下直家副会長は、社会資本整備が地域の自立と連携に不可欠であり、その重点化と促進にあたっては、(1)国民が最低限享受すべき水準(ナショナルミニマム)の達成 (2)地方の社会資本整備が国土全般に及ぼす効果――に留意すべきであると指摘した。

■自由討議

第2部の自由討議では、四経連側から、地方分権の推進や、環境税に対する今後の対応、「東アジア自由経済圏」実現の目的とその具体的内容などについて質問が出された。
また、地域に密着した新たな産業の創出には、社会的規制の緩和や多様な就業スタイルの実現、高齢者の活用などが必要との意見もあった。

これに対して日本経団連側は、「地方分権は、権限と税財源を中央から地方にどう移譲していくかが重要」(西室副会長)、「環境自主行動計画の着実な達成や、省エネ製品の開発・普及などにより、環境税なしに、京都議定書の目標が達成できる道筋を示す必要がある」(米倉副会長)、「東アジアがもつ多様性のダイナミズムをさらに強化し、わが国の今後の成長の源泉とするとともに、地域全体の安定と繁栄の確保をめざしている」(柴田副会長)――とコメントした。
また、四経連の副会長でもある高原評議員会副議長は、「日本が攻めの経営を進めていく上で新産業・新事業の創出が絶対的に必要である」と述べた。
自由懇談後の総括で奥田会長は、「前回の懇談会と比べて総じて四国経済界の発言に明るさがうかがえ、自信が感じられる。四国も変わってきたと実感した」と結んだ。

【総務本部総務担当】
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