日本経団連タイムス No.2754 (2005年2月3日)

産労懇、若年者雇用対策で意見交換


厚生労働大臣の私的懇談会である産業労働懇話会(座長=宮崎勇・大和総研名誉顧問)は1月27日に都内のホテルで第230回会合を開き、「若年者の雇用対策」について、労使のトップや学識経験者らが意見交換を行った。その中で、日本経団連の奥田碩会長は、若年雇用問題は、地域レベルでの行政機関の連携や、要因別のきめ細かな対策の実施が不可欠であることを強調した。

懇談会の冒頭にあいさつした尾辻秀久・厚生労働大臣は、現在の雇用情勢について、今春卒業の新規学卒者の就職内定状況が上向いているものの、若年層の失業率が依然として高いことに危惧を表明、「若年層の有効求人倍率は高く、多くの求人はあるものの、就職に結びつかなかったり、就職しても早期に離職するケースがある」と現状を分析した。
さらに尾辻厚労相は、フリーターやニート(若年無業者)が近年増加していることについても言及。「働くことは、社会に参加し貢献する、最も基本的な営みである」とした上で、フリーターやニートの増加が、将来の産業経済活動や社会保障制度に与える影響も大きいことを強調し、早急に対応すべき課題であることを訴えた。

■懇談

続いて行われた懇談の冒頭に発言した奥田会長は、2003年から政府が取り組みを始めている「若者自立・挑戦プラン」について、「企業としても積極的に関与していかなければならない」との考えを示した上で、(1)中央省庁間での連携はできていても、実際の実施主体となる各地域での行政の連携がうまくいっていないこと (2)企業側と学校側との意思疎通が十分にできないこと――などを指摘した。
また、奥田会長は、フリーターやニートの問題については、要因別にきめ細かな対策が必要であることを指摘するとともに、「全体的に雇用情勢は改善し、求人倍率も上がっているが、フリーターやニートは、求職活動をしなければ、失業者にカウントされない」と述べ、日本の失業率や有効求人倍率が、実態を的確に示していない可能性もあることを示唆した。

奥田会長が指摘した、地域レベルでの関係行政機関の連携の強化について、衛藤晟一・厚生労働副大臣は、「都道府県や市町村が一体となった取り組みが必要である」と応え、今後、そうした体制づくりに一層取り組んでいく意向を示した。

懇談会には中川昭一・経済産業大臣も出席。全国15カ所のモデル地域を指定し、経済産業省として取り組みを進めているジョブカフェについて触れ、群馬県や大阪府などで、同じような立場・視点から、「若者が若者の就職を支援する」という新たな試みが効果を上げつつあることを紹介した。

また、塩谷立・文部科学副大臣は、義務教育のあり方を見直すことが若年雇用問題の解決につながると指摘し、(人生の目標設定は)20歳になってからでは遅く、中学を卒業するまでに人生の目標を持てるように義務教育のあり方を議論していると述べた。

連合の笹森清会長は、改善傾向にあるとされている現在の雇用情勢について、(1)パートなど非典型雇用の増加 (2)高止まりしている若年失業率の問題 (3)長期化している失業の問題――などを挙げ、数字は改善しているが内容面では問題があると主張。その上で、「政策を総動員して雇用問題に取り組む必要がある」と語った。

【労働政策本部雇用・労務管理担当】
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