日本経団連タイムス No.2754 (2005年2月3日)

固まりつつある厚労省改正案

−介護保険制度改革めぐる動きと日本経団連の対応


法施行5年後の見直しに向けて検討が続けられてきた介護保険制度に関する厚生労働省の改正案が、概ね固まりつつある。
改革の骨子は5点あり、第1は、従来の要支援・要介護1の軽度の人たちに対する給付内容を、予防重視型に改めること。従来型の給付についても生活機能の維持・向上に資する内容・期間に改めることに加え、筋力向上トレーニングや、栄養改善サービスを付加する。さらに、要支援・要介護1に認定されなかったが、要介護状態になるおそれの強い人に対しても、介護予防サービスを提供する「地域支援事業」を設けるとしている。

第2は、特別養護老人ホームなど介護3施設に入所した場合、食費・居住費を保険給付の対象外にすること。

第3は、新たなサービスとして地域密着型サービスを創設することである。例えば、認知症の高齢者向けグループホームなど、地元市町村で提供されることが適当なサービス類型を定め、市町村が事業者を指定し、その市町村民に限定して利用できるようにするとしている。

第4は、介護サービス事業者に関する情報開示を標準化し、利用者が適切に選べる環境整備を図ることである。また、事業者指定について更新制を導入するとともに、欠格事由を追加する。

第5は、制度運営の見直しとして、第1号保険料の天引き徴収ができる年金の範囲を、遺族年金や障害年金に拡げるほか、要介護認定の申請代行や、委託調査を行える者の範囲を限定することである。

日本経団連は、予防重視の考え方や食費・居住費の自己負担化は、介護保険給付の適正化に資するとして支持してきた。
他方、第2号被保険者・受給者の範囲の拡大には極めて慎重であるべきと主張し、政府・与党に働きかけてきた。今回の改正で、これを検討条項として法案に盛り込むかどうか、政党間で大詰めの協議が続けられている。
改正法案は来週にも閣議決定され、今国会に提出される予定。

【国民生活本部社会保障担当】
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