日本経団連タイムス No.2758 (2005年3月10日)

東海地方経済懇談会開く

−「地域の活力を引き出し新たな未来を切り拓く」テーマに/「中部国際空港」「愛・地球博」を活かす地域づくりなどで意見交換


日本経団連は2月24日、愛知・名古屋市内のホテルで、東海地方経済懇談会を開催した。懇談会には、奥田会長や6名の副会長、評議員会副議長ら、日本経団連の首脳役員をはじめ、共催団体である中部経済連合会(豊田芳年会長)や東海商工会議所連合会(箕浦宗吉会長)の会員企業などから約150名が参加。「地域の活力を引き出し新たな未来を切り拓く」を基本テーマに、中部国際空港と「2005年日本国際博覧会」(愛・地球博)の2大プロジェクトを活かした地域づくりや、道州制・地方分権の推進、観光産業の振興など、東海経済の現状と諸課題について意見を交わした。また、懇談会に先立ち、日本経団連は、「愛・地球博」の長久手会場を視察し、2005年日本国際博覧会協会の中村利雄事務総長らから、開催に向けた準備状況などの説明を受けた。

開会あいさつを行った中経連の豊田会長は、2月17日に開港した中部国際空港と、3月25日に開幕する「愛・地球博」の2大プロジェクトの成果を契機として、さらなる地域経済の発展に取り組んでいきたいとの意向を示した。
また、東海地域がこれまで「モノづくりの中枢圏域」として発展してきたことを挙げるとともに、中経連が、新産業・新技術の創出や産業振興に精力的に取り組んでいることを紹介。さらに、国際交流の年である今年を契機に、観光産業を東海地域の産業の柱として育てていくことも、地域活性化の重要な方策であると語った。

■活動報告

第1部では、日本経団連側から、宮原賢次副会長が「経済連携の促進」、庄山悦彦副会長が「産業技術をめぐる最近の動き」、勝俣恒久副会長が「地球温暖化問題への対応」について、それぞれ活動報告を行った。

続いて、東海地域の経済界側から、まず、名古屋商工会議所の岡田邦彦副会頭が活動を報告。その中で岡田副会頭は、東海経済の現状について、製造業、特に自動車関連や一般機械などが堅調で好調を維持している一方、中小企業は収益面で厳しい状況にあり、景気回復を実感できない状況にあると指摘した。
その上で、「中部国際空港」の開港と、「愛・地球博」の開催は、東海地域の新たな飛躍への絶好の機会であることから、技術や文化、観光、街づくりなどさまざまな面に活かし、揺るぎない基盤づくりを進めていかなければならないと語った。

次に、中経連の横井明副会長は、産業振興に関する中経連の取り組みについての報告の中で、東海地域は、世界をリードする産業技術の中枢圏域としての基盤確立のため、ナノテクノロジーやバイオ・医療・IT産業などの先端産業の振興に取り組み、産業構造の一層の高度化・複合化をめざす必要があるとの認識を示した。
その上で、中経連が、ナノテク分野の第一線で活躍する産業界・学会の専門家が参画する組織を立ち上げ、産業界のニーズの抽出などを行ったことを紹介するとともに、海外の企業誘致やベンチャーへの支援活動を積極的に展開していることを披露した。

道州制・地方分権の推進/観光産業振興を討議

■自由討議

第2部の自由討議ではまず、東海地域の経済界側から、地方分権の推進、特に、地方制度調査会で検討が進められている「道州制」について、「行政だけに任せておくのではなく、地域社会の一員である経済界も積極的に発言していくことが必要」との発言や、「愛・地球博」を一過性のイベントに終わらせることなく将来の地域活性化につなげるとともに、日本を代表する国際空港として中部国際空港を観光や産業などに活用するために、「広域連携」の強化がこれまで以上に必要であるとの指摘があった。
また、地域活性化の観点から、尾州織物を世界市場に積極的に売り込んでいくためのブランド戦略や、東海地域と隣接する経済圏との広域連携による観光産業の振興についての言及もあった。

これらの発言に対して日本経団連側は、「国と地方の適切な役割分担を通じて、地方の自主性が発揮できる環境を整備し、地域の活性化を図ることが国の繁栄につながる。また、広域連携は必要であり、東海地域がその模範となってほしい」(西室泰三副会長)、「日本ブランドを確立し広げていくためには、(1)高い商品力 (2)高レベルの技術 (3)技術に基づいた信頼感――が重要である」(高原慶一朗評議員会副議長)、「観光振興による地域経済の活性化が必要であり、各地に点在する観光ルートの開発に、広域連携を通じて、地域が主体となって取り組むべきだ」(米倉弘昌副会長)、「地域の発展には、町の景観の整備とともに、地域住民が率先して主体的に取り組むことが重要である」(柴田昌治副会長)――などとコメントした。

最後に、懇談会の総括を行った奥田会長は、「愛・地球博」のために訪日する外国人を日本全体でもてなす心が必要であると述べるとともに、「モノづくりの中枢圏域」である東海地域が、新たに開港した中部国際空港を最大限に活用し、さらに発展するよう期待感を示した。

【総務本部総務担当】
Copyright © Nippon Keidanren