日本経団連タイムス No.2759 (2005年3月17日)

情報通信委、「IT政策パッケージ−2005」の内容聴取

−「企業の情報セキュリティのあり方に関する提言」審議も


日本経団連の情報通信委員会(吉野浩行委員長)は1日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、内閣官房IT担当室の安藤英作、占部浩一郎両参事官から、「IT政策パッケージ―2005」の内容を聴取するとともに、同委員会の「ITガバナンスに関するワーキング・グループ」(村上輝康座長)がとりまとめている「企業の情報セキュリティのあり方に関する提言(案)」について審議を行った。

講演の中で安藤、占部両参事官は、今年が、01年策定の「e―Japan戦略」の目標である「世界最先端のIT国家」を実現する最終年にあたることから、先月24日開催の内閣・IT戦略本部の会合において、目標達成を確実にするため、重点的に取り組むべき施策をまとめた「IT政策パッケージ―2005」が決定されたと説明。
その上で、同パッケージに盛り込まれている、(1)行政サービス (2)医療 (3)教育人材 (4)生活 (5)電子商取引 (6)情報セキュリティ・個人情報保護 (7)国際政策 (8)研究開発――のそれぞれにおいて、05年中にすべきこと、または方針を定めるべきことについて概説した。
その中で、日本経団連が求めている「輸出入・港湾関連手続きの最適化に向けた取り組み」については、最適化計画を05年度末までのできるだけ早期に策定するとされており、また、「高度なIT人材の育成」についても、05年度末までに産学官連携による体制を整備することが盛り込まれていると語った。

これに対して委員からは、デジタル・デバイドや行政バック・オフィス業務の効率化、IT人材の育成などへの積極的な取り組みを求める意見が挙がった。

続いて、同委員会の「ITガバナンスに関するワーキング・グループ」が昨年10月から行ってきた、企業の情報セキュリティのあり方に関する検討の結果を、同ワーキング・グループの村上座長が報告するとともに、その検討結果を踏まえてとりまとめた提言案について、審議を行った。

同提言案は、(1)提言の目的 (2)基本的な考え方 (3)情報セキュリティ対策――の3つの柱で構成。このうち、情報セキュリティに対する基本的な考え方では、企業が社会的責任の一環として、積極的に情報セキュリティに取り組むとともに、「守りの情報セキュリティから攻めの情報セキュリティへ」と発想を転換し、情報セキュリティを経営に活かすことの重要性をうたっている。また、情報セキュリティをネットワーク全参加者の文化とすることによって、社会全体のセキュリティ水準を向上させることや、情報セキュリティに万全はないという前提の下、実施すべき合理的な対策の水準に関する社会的コンセンサスを形成することの必要性を指摘している。
同提言ではこのほか、「個人情報漏洩等防止のための実効ある対策」として、不正な目的を持って個人情報を漏洩した個人への直罰の導入について、政府が検討を開始するよう求めている。

同提言案に対して委員からは、リスクの定量的評価や個人情報漏洩防止対策などについても、ぜひ進めてもらいたいといった意見が出された。
審議の結果、同委員会は同提言案を了承。15日の理事会で承認後に発表された

【産業本部情報担当】
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