日本経団連タイムス No.2763 (2005年4月14日)

社会保険庁の在り方に関する有識者会議

−新組織のグランドデザイン了承/業務範囲の合理化図る


社会保険庁の組織改革を検討している「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」(座長=金子晃・慶應義塾大学名誉教授)は3月31日、座長が示した「新しい組織に関するグランドデザイン」を了承した。

それによると、社会保険庁の業務範囲を合理化するため、(1)関連事業の切り離し・整理 (2)定型的業務の民間への外部委託・市場化テストによる外部委託の拡大 (3)業務の広域的な集約――などによって、現在、非常勤職員も含めて約2万9000人いる要員を、相当程度削減するとしている。また、その削減可能数や、削減計画を明らかにすることについても言及している。
その上で、社会保険庁に代わる新しい組織にとっては「国民の信頼の回復・維持」が最重要の課題であることを指摘、そのために「国民の意向の反映」「内部統制の確保」「透明性の確保」「効率性の確保」「法令順守の徹底」を基本コンセプトとして、これらを実現し得る組織の枠組みを構築するとしている。

具体的な改革としては、厚生年金・国民年金の運営主体について、「国とする場合」と「公法人とする場合」との2つのケースを、「意思決定機能」「業務執行機能」および「監査機能」の3つの機能の強化策と併せて検討するとしている。特に業務執行機能については、国民年金保険料の収納率向上のため、地方社会保険事務局の抜本的見直しなど、中央組織・地方組織にわたる構造改革を進めることを求めている。
また、主に中小企業の従業員を対象とする政府管掌健康保険の運営主体を国から分離して、新たな公法人によって運営することが適切であるとし、その新組織では公的年金と同様、3つの機能を明確に分離し、機能強化を図るとしている。

日本経団連は、社会保険庁の業務を徹底的に合理化し、保険料負担者の視点に立った組織運営を行うよう求めてきた。また政管健保については、医療費の適正化、保険者機能の強化に資するという観点から、運営主体を国から分離する方向に賛成するとともに、新しい運営主体については民営化も含めて検討すべき、などと主張してきた。

有識者会議は5月に最終報告をまとめる予定にしており、今後は残された論点の検討を行う。

【国民生活本部年金担当、医療・介護担当】
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