日本経団連タイムス No.2766 (2005年5月12日)

労働法規委員会、労働法企画部会合同会合を開催


日本経団連の労働法規委員会(藤田弘道委員長)と、その下部組織労働法企画部会(小島浩部会長)は4月27日、東京・大手町の経団連会館で合同会合を開催。同会合では、苧谷秀信厚生労働省監督課長から、「今後の労働契約法制のあり方に関する研究会」(学識経験者で構成する厚生労働大臣の私的研究会)が4月に発表した中間とりまとめの概要を聴取した。

この中で苧谷監督課長は、個別労使関係紛争の増加などから「労使当事者が実質的に対等な立場で自主的に労働条件を決定することを促進し、紛争の未然防止等を図るためには、新たな法律(労働契約法)が必要である」と強調。また、「仮に労働時間法制が見直され、企業が要件緩和後の裁量労働制や、ホワイトカラーエグゼンプション制を導入すれば、労働条件を変更したり、評価方法等を個別に決定したりする場面が想定される」と述べ、労働時間法制見直しは労働契約法制と表裏一体であると説明した。
このほか、労働条件の決定・変更を協議する目的で任意に設置できる常設的な労使委員会については、多様な労働者の意見を汲み上げられることや、労働者側委員の過半数同意を得た就業規則変更は合理性が推定されるといった点で、労使双方にメリットがあると説明。06年度から段階的に義務化される65歳継続雇用をめぐる紛争を避ける意味でも、「労使委員会の設置促進は重要」とした。

意見交換では日本経団連から、「(同研究会中間とりまとめが)多様な働き方が可能になるように労働時間法制の見直しを打ち出した点を評価する」「有期契約の雇止め規制は慎重に審議すべき」「結果的に行政が介入するおそれはないか」などの意見が出た。
また、「解雇の金銭解決の使用者側申立て要件が、03年の労働政策審議会の建議内容と異なる」との委員の質問に対して苧谷監督課長は「03年当時、中小零細企業では一律的な解決金の額設定が難しいとされ、個別企業ごとに条件を決める方策が未解決だった。今回、集団的労使合意を要件としたのはそれに応えたものである」と述べ、要件を厳しくしたものではないと説明した。

厚生労働省は、今年秋の同研究会最終報告を受け、06年末にかけて労働政策審議会で労働契約法制と労働時間法制の議論をあわせて行い、法改正が必要との結論に達すれば、07年の通常国会に労働契約法(仮称)案と改正労働基準法案を提出する意向。

この日の合同会合ではこのほか、労働法企画部会で策定中のホワイトカラーエグゼンプション制に関する報告書を6月に発表して、労働時間法制見直し議論に反映させる予定であることや、使用者側の労働審判員候補者の推薦状況などについて、事務局から報告を行った。

【労働法制本部労働法制担当】
Copyright © Nippon Keidanren