日本経団連タイムス No.2766 (2005年5月12日)

人事労務管理委・労働安全衛生部会を開催

−「厚労省のばく露関係情報届出案」など厚労省の説明を聴取


日本経団連は9日、東京・大手町の経団連会館で人事労務管理委員会の労働安全衛生部会(相川貢部会長)を開催し、4議題の審議を行った。

第1の議題は、厚生労働省がまとめた「労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会報告書案〜ばく露関係情報の届出案を中心に」について。厚労省安全衛生部の古川祐二化学物質対策課長から同案の説明を聴取した後、事業主側の対応について審議を行った。
古川課長は、国が行うリスク評価に必要なばく露関係情報を収集するために、事業場における取扱量や、従事労働者数、作業内容、換気設備の設置状況等のばく露関係情報を収集する仕組みを創設する考えであると説明。届け出の仕組み例として、(1)国は、届け出の対象となる化学物質の名称および時期を毎年定期的に10物質程度ずつ厚生労働大臣告示として公表する(2)届出対象物質名が公表された後、事業者は一定期間内に所定の様式に必要事項を記載し、所轄労働基準監督署に届け出るものとする。ただし、同一物質に関して届け出る必要はない――ことなどを挙げた。
また、対象事業者の範囲は、(1)第1種衛生管理者を選任すべき業種等一定の業種で (2)すべての規模の事業場であって (3)届け出の対象となる化学物質を、前年度の1年間に0.5トン以上製造または消費等した事業場――とする考えであることを明らかにした。

第2の議題は、16日開催の労働政策審議会において諮問予定の「電離放射線障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令案」について。厚労省安全衛生部の阿部重一労働衛生課長から説明を聴取した後、事業主側の対応について審議を行った。
阿部課長は規則改正のポイントとして、(1)労働安全衛生法に基づく電離放射線障害防止規則の規制対象となる放射性物質の定義に、国際原子力機関等が提唱した規制下限値の国際標準を取り入れる (2)文部科学省または登録認証機関の審査・認証を得た機器(例えば、煙感知器など)については、労働基準監督署長への機械等の設置等計画届出義務の対象から除く――の2点を挙げた。

第3の議題は、6月にジュネーブで開催されるILO総会の議題「労働安全衛生のための促進的枠組(第1次討議)に対するわが国使用者側見解案」についての審議。ILO総会で同議題が取り上げられる背景には、(1)労働安全衛生分野のILO文書としては、多数の条約や勧告、実施綱領があるものの、これらの文書は個別に独立し、規定の重複も多く、労働安全衛生に関するILO条約はさほど多く批准されていないこと (2)そのため、労働安全衛生分野におけるこれまでのILO活動について、個々の文書よりも全体的な整合性や妥当性、影響力を体系立てて評価し直すことへのニーズが高まってきたこと――がある。

第4の議題は、厚労省の「労働安全衛生法における胸部エックス線検査等のあり方検討会」と、中央労働災害防止協会の「職場におけるメンタルへルス対策のあり方検討委員会」の検討状況などについて、報告と意見交換を行った。

【労働法制本部安全・衛生担当】
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