日本経団連タイムス No.2768 (2005年5月26日)

中山文部科学相と懇談

−第3期科学技術基本計画での取り組み事項中心に意見交換


日本経団連は12日、都内で、中山成彬文部科学大臣との懇談会を開催した。同懇談会は、総合科学技術会議基本政策専門調査会が第3期科学技術基本計画の策定に向けて、6月にも中間的な報告を取りまとめる予定であるなど、第3期基本計画に向けた議論が山場を迎える中、今年1月に引き続いて開催したもの。日本経団連からは、庄山悦彦・副会長・産業技術委員長、高原慶一朗・評議員会副議長、秋元勇巳・資源・エネルギー対策委員長、山本一元・環境安全共同委員長らが、文部科学省からは中山大臣のほか、塩谷立副大臣、小島敏男副大臣、小泉顕雄大臣政務官らが出席した。今回は、第3期基本計画で取り組むべき事項を中心に、少人数で活発に意見を交換した。

冒頭あいさつで庄山副会長は、「これまでの投資で得られた知の創造をもとに、イノベーションを創出し、豊かな国民生活の実現など、目に見える形で国民に還元することが基本計画の重要な役割」と指摘した。

これに対して中山文科相は、文部科学省の科学技術・学術審議会がこのほど取りまとめた「第3期科学技術基本計画の重要政策」のうち、人材戦略と基幹技術戦略が極めて重要であるとの認識を示すとともに、研究開発投資額の拡充について、「米国や中国、韓国が投資額を拡大する中、第3期においては第2期を上回る投資額の確保と総額の明示が不可欠」との考えを述べた。

その後、有本建男科学技術・学術政策局長が、イノベーション戦略など、第3期科学技術基本計画の「五つの戦略」について説明した。一方、日本経団連側からは、笠見昭信・産業技術委員会科学技術政策部会長が、第3期科学技術基本計画に対する日本経団連の考え方を表明。特に、めざすべき経済社会の実現に向けて、より一層の重点化を図る必要があり、そのために不可欠な中核となる重要技術については、分野を超えて統合的にかつ一貫して推進すべきであることを強調した。

自由懇談では、日本経団連側が「国家がトップダウンで方針を打ち立てた上で計画を推進することが重要」「推進すべき基幹技術には、エネルギー技術も盛り込むべき。併せて、エネルギーと環境問題とを一体的にとらえる教育を実施する必要がある」「ITER(国際熱核融合実験炉)の日本誘致に、引き続き取り組んでもらいたい」「総合的な安全保障の観点から、宇宙開発利用に取り組むべき。官民一体となった宇宙産業の強化が必要」「日本の理科離れは、あまりにも進み過ぎている。将来の科学技術の総合力を発揮する上でのベースになるところであり、真剣な取り組みが必要」などの意見を述べた。

日本経団連からの指摘に対して中山文科相は、第3期基本計画の策定に向けて、産業界との連携をより一層深めて取り組むとの考えを示すとともに、ITERに関しても、日本誘致に最後まで努力する意向を表明した。

【環境・技術本部開発担当】
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