日本経団連タイムス No.2770 (2005年6月9日)

ユドヨノ・インドネシア大統領と懇談

−奥田会長、EPAの早期締結や投資環境整備に期待感


日本経団連(奥田碩会長)は2日、都内で、インドネシアのユドヨノ大統領との朝食懇談会を開催した。懇談会には、インドネシア側からユドヨノ大統領をはじめ、バクリー経済担当調整大臣、マリ・パンゲストゥ貿易大臣などの閣僚に加え、インドネシア商工会議所(KADIN)関係者が、日本経団連側からは、奥田会長、森下洋一評議員会議長、宮原賢次副会長、岡村正副会長・日本インドネシア経済委員会委員長らが出席。双方あわせ43名が参加した。

懇談において奥田会長は、スマトラ沖地震・津波被害の死者に対する弔意を示した。また、ユドヨノ大統領が就任後、投資環境の改善に向けた各種の改革に精力的に取り組んでいることに歓迎の意を表するとともに、大統領と小泉純一郎総理大臣との会談で正式な政府間交渉開始に合意する予定となっている経済連携協定(EPA)に関し、「交渉開始後早期に締結されることを強く期待する」と述べた。併せて、今回両国間で共同発表する予定の「日本・インドネシア戦略的投資行動計画(SIAP)」により、幅広い分野で投資環境が整備されることについても期待感を表明した。

これを受けてユドヨノ大統領は、まずスマトラ沖地震・津波に際しての日本からの支援に感謝の意を表明。次いで今後の政治的な施策としては、政治の安定や法の秩序の徹底、司法制度の改革、治安の維持に重点を置くと説明した後、経済面については、民間投資の増加による経済成長がインドネシアにとって重要な課題であるとの観点から、インフラ整備を含む投資環境整備に徹底して取り組むとの決意を示した。また、現在、インドネシアで行っている諸改革が、当初想定していたロードマップよりも早く進捗していることを紹介。加えて、SIAPが掲げている今後5年間での投資倍増を達成すべく、インドネシア政府側も努力を倍増させるとの意欲を表明した。
ユドヨノ大統領は、自身は有言実行を旨としており、問題を未解決のまま放置するようなことはしないと断言し、諸問題解決のためのタスクフォースを新設する意向も明らかにした。

意見交換では、日本経団連側から、「インドネシアがインフラ整備の重要性を強く認識していることを心強く感じている」「投資環境整備の一環として、司法の整備や法の適正な執行も重要である」「KADINとの民間同士の協力強化に努めている」等の発言があり、ユドヨノ大統領のさらなるリーダーシップ発揮への期待などが示された。

一方、インドネシア側では、バクリー経済担当調整大臣が、「EPAについては、両国首脳間での政府間協議入り合意の後、1年を待つことなく、可能な限り速やかに締結したい」と発言。また、マリ・パンゲストゥ貿易大臣は、「従来の自動車や自動車部品、繊維等に加え、裾野産業、中小企業、インフラ、農業、ハイテク等の分野への投資を期待する」との意見を述べるとともに、現在、内外無差別とする方針で策定作業中の新しい投資法を年内に国会で成立させたいとの意向を示した。

【国際協力本部経済連携担当】
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