日本経団連タイムス No.2770 (2005年6月9日)

リー・シンガポール首相と意見交換/両国間の連携強化を再確認

−アジア地域の発展へ、パートナーとしての役割を強調


日本経団連は5月25日、都内のホテルでシンガポールのリー・シェンロン首相との懇談会を開催した。

懇談会には、シンガポール側からリー首相ほか、ジョージ・ヨー外務大臣らが、日本経団連側からは奥田碩会長、出井伸之副会長、米倉弘昌副会長らが出席。日本・シンガポール両国の経済情勢とともに、アジア地域全体の発展に向けた協力のあり方などについて意見交換を行った。

冒頭のあいさつで奥田会長は、日本初の経済連携協定(EPA)として2002年1月に締結された日本シンガポール新時代経済連携協定について触れ、同協定が両国間の経済関係の一層の緊密化とともに、日本と他のアジア諸国との経済連携強化の基礎となっていると述べ、リー首相やシンガポール政府の尽力に改めて感謝の意を示すとともに、「アジア地域における連携と協力をさらに強化していくため、今後もよきパートナーとして友好的な協力関係を維持していきたい」と語った。

これを受けてリー首相は、「今後もシンガポールに進出している日本企業の支援を行いながら、両国の相互理解とさらなる発展に努めていきたい」と応えた。
また、アジア域内における協力のあり方などに関しては、グローバルな経済主体として、台頭してきている中国との経済関係強化の重要性を指摘。同時に、(1)ASEAN域内での経済協力・連携の強化によるASEAN5億人市場のプレゼンスの向上 (2)長期にわたって重要な経済的パートナー関係にある日本と東南アジア、北東アジアとのさらなる関係強化 (3)アジア地域と米国など域外にも開かれた連携維持・強化――が必要であると述べた。

またシンガポール国内の課題として、製造業のさらなる高度化・重点化に注力していくことに加え、企業家、熟練技術者の育成などを通じて、産業構造の一層の高度化・競争力強化を図りつつあると指摘。加えて、少子化対策、教育改革やカジノ構想を含めた観光振興などの各種改革の現状にも言及、それらの内容について日本経団連側と懇談した。

最後に奥田会長は、「日本とシンガポール両国の政治や経済、文化、観光など幅広い領域での交流と一層の関係強化を望んでいる」と結んだ。

【国際協力本部アジア担当】
Copyright © Nippon Keidanren