日本経団連タイムス No.2772 (2005年6月23日)

「行政手続きの電子化と利用促進に関する懇談会」開催

−オンライン行政手続き推進へ企業の意見聴取


日本経団連では、電子政府、e文書等の推進に取り組んでおり、その活動の一環として15日、東京・大手町の経団連会館で「行政手続きの電子化と利用促進に関する懇談会」を開催した。当日は、内閣官房IT担当室の粂井利久グループリーダーから、現在、内閣官房で作業中の行政手続オンライン化のアクション・プランについて説明を受けるとともに、国税庁課税部法人課税課の壺見晴彦課長補佐から、国税庁が担当している納税電子化の推進について説明を聞き、意見交換を行った。

粂井グループリーダーは「現在でも行政手続きのおよそ96%がオンライン化されてはいるが、添付書類は従来どおり紙での提出が必要であるなど、利便性の面で問題がある」との認識を示し、年間申請数の多い手続きに優先順位をつけて、改善をめざしたいと考えていることを明らかにした。しかしこれが実際のユーザーの要望にマッチしたものかどうかはわからないため、「頻度の高い手続き、あるいはオンライン化に対するニーズの高い手続きを整理するために、1カ月程度パブリックコメントを実施する」と説明した。

次に、壺見課長補佐が年間申請件数のベスト10に、国税関係が4件も入っており、その全てでオンラインの利用率が1%未満となっていることを指摘。「e-Tax(電子納税)の利便性はかなり向上しており、認知度が低いことが最大の要因ではないか」との見方を示した。その上で、「国税庁でも多くの部署をまたがる、一大プロジェクトとして e-Taxを推進しており、今まで以上にPR活動に力を入れたい。日本経団連会員企業にも、いろいろ障壁があることは承知しているが、まずオンラインを利用してほしい。その上で、どのような問題があるか指摘してもらい、改善していきたい」と発言した。

続く意見交換では、日本経団連側が、「行政は縦割りで考えるのではなく、港湾の諸手続きをはじめ、ワンストップ・サービスという観点で対応してほしい」「納税者番号と住民基本台帳番号が違うものでは、利便性が向上しない」などと指摘した。

これらの意見に対して、内閣官房は「ワンストップ・サービスの提供については、まず今年中に自動車購入時の手続きを一本化する予定である。一方、個々の手続きを見ることも必要なので、個別とワンストップ・サービスの両方の視点で考えたい」と説明。国税庁は「無駄な手続きを廃止すべきことについては、内閣官房からも指摘されているが、課税の公平とのバランスを考慮して検討したい」との見解を述べた。
また、内閣官房からは、「『オンライン利用促進対象手続(案)』に関する意見の募集」として、パブリックコメントを6月17日から7月14日まで実施しており、日本経団連の会員企業からも、改善点などの意見を得て、利用者本位の手続きの整備に資するよう努めたい、との意向が示された。

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同パブリックコメントへはホームページから申し込みができるので、日本経団連の会員企業においては、是非ご協力いただきたい。
(URL= http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/pc/050617comment.html

【産業本部情報担当】
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