日本経団連タイムス No.2774 (2005年7月7日)

改正PFI法案、近く国会に上程

−日本経団連の「提言」を反映/サービス主眼の案件採用、国公有地を有効利用


改正PFI法案が、自民党のPFI推進調査会においてまとまり、議員立法の形で近く国会に上程される。日本経団連では、2004年1月に発表した「PFIの推進に関する第三次提言」のなかで、PFI法改正の必要性を提言し、政府ならびに与党に働きかけを行ってきた。今回の改正法案は、同提言で指摘した内容が反映された形でまとめられている。今回のPFI法改正のポイントは次のとおり。

入札手続の改善なども

(1)サービスの提供を主眼とした案件の採用

従来、PFIの大半は施設等の建設を主眼とするものであったが、最近では地方自治体が公立病院を建設し、民間が医療関連サービスの提供や病院の経営を担うといった、サービスの提供に特化した案件も散見されるようになっている。サービスの提供は民間のノウハウが最も活かせる部分であり、日本経団連ではサービスに主眼を置く案件もPFI法の対象となるよう、法の文言の明確化を提言してきたところ、改正PFI法第1条において、「国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供を確保」がPFIの目的であることが明記される見通しとなった。

(2)国公有地の有効利用

PFIは民間の創意工夫を発揮しつつ、国公有地を有効活用していくことで高い費用対効果を生むことが可能となるため、日本経団連では「国公有地の有効活用」をPFIの基本理念として法文に明記するよう提言した。その結果、同内容がPFI法第3条に盛り込まれることになった。

(3)入札手続の改善

PFIの入札手続について日本経団連では、手続の効率化や公共側の要求と民間が提供し得るノウハウについての事前のすり合わせ等が必要であると主張。同内容に関しても、PFI法の附則において「多段階選抜」や民間事業者と公共側との事前協議の導入について検討を加えることが明記されるに至った。また、入札にあたっては、価格の要素が過度に重視されると、結果として「安かろう、悪かろう」ということになる恐れがあるが、PFI法第8条において、「民間事業者の選定に際しては価格のみならずサービスの質、その他の条件によって評価する」旨が明記される。

(4)民間収益部分の流動化

現行のPFI法では、国公有地の上に建設されたPFI施設に民間収益部分を併設しても、これを第三者に転売することが認められず、投下資金の回収や経営の効率化が図れないといった問題が指摘されてきた。この点に関して、民間収益施設の第三者譲渡を認めるべく、PFI法11条の2の改正が図られることとなった。

日本経団連では、改正PFI案が早期に国会を通過するよう働きかけを続けるとともに、具体的な手続を定めたガイドラインなどの見直しについても対応していく予定である。

◇ ◇ ◇

PFIとは、民間の資金・ノウハウを活用した公共施設の建設や公共サービスの提供の形態。従来型の公共事業は、国や地方自治体が資金を提供し、民間事業者は設計・工事のみを請け負うのに対し、PFIの場合、民間事業者が金融機関から資金を調達し、施設の建設・サービスの提供を行い、サービス料を徴収することで資金を回収する手法をとるケースが多い。わが国では、1999年にPFI法が議員立法によって成立。以来、国・地方を合わせて200件あまりのPFI案件の実施が決定し、そのうち60件程度については、すでにサービスの提供が始まっている。

【産業本部国土担当】
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