日本経団連タイムス No.2781 (2005年9月1日)

経済広報センター、「企業広報賞」表彰式開く

−1社・4氏が受賞/立石副会長、企業広報の重要性強調


日本経団連の関連組織である経済広報センター(奥田碩会長)は8月29日、東京・大手町の経団連会館で、「第21回企業広報賞」の受賞企業・受賞者に対する表彰式を開催した。企業広報大賞はシャープ(町田勝彦社長)が受賞したほか、企業広報経営者賞には日本電産の永守重信社長(CEO)、ローソンの新浪剛史社長兼CEOが受賞した。また企業広報功労・奨励賞には日本電気の青木日照広報部エグゼクティブ・エキスパート、アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)の新貝寿行常務執行役員が選ばれた。

表彰式ではまず、主催者を代表して立石信雄経済広報センター副会長があいさつ。各賞ともに、「経営理念や経営改革の方向性を明確に打ち出し、各ステークホルダーとのコミュニケーションを円滑に進め、企業の姿を積極的に伝えて、社会から高い評価を得たこと」が共通の受賞のポイントであると説明した。また、立石副会長は、企業不祥事があとをたたない昨今、製品やサービスの安全性について、企業がいかに対応していくかが課題であり、企業の顔がみえるCSRを行うためにも、企業広報の重要性がますます増していると強調した。その上で、今回企業広報大賞、企業広報経営者賞を受賞した1社、2氏および、企業広報功労・奨励賞を受賞した2氏には、今後も「範」として日本企業を牽引していくとともに、自身の企業もまた今以上に大きく成長させていってほしいと激励した。

この後、表彰楯・トロフィーなどの贈呈と、選考委員による講評が行われたのに続いて、受賞企業代表・受賞者があいさつし、喜びを語った。企業広報大賞を贈られたシャープの町田社長は、「『オンリーワン経営』をめざし、ものづくりに邁進してきたことを評価され嬉しく思う。今後も環境に配慮し、オンリーワン技術、デバイスを用いた『オンリーワン商品戦略』を一層極めていきたい」とコメントした。

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企業広報賞は1984年に創設され、広報活動の活性化を目的に、優れた広報活動を実践している企業や個人を毎年表彰している。
企業に授与される企業広報大賞は、(1)企業としての総体的価値を社会にアピールできているか (2)経営トップと広報が効果的に連携・一体化して積極的な広報活動をしているか――が選考ポイント。
また、経営者に贈られる企業広報経営者賞では「トップ自らが広報の重要性を認識し、各ステークホルダーと積極的にコミュニケーションを図っているか」に重点がおかれ評価される。企業広報功労・奨励賞は「企業広報の発展に功労が大きく、独創的な企業広報を実践している」個人やチームが対象となる。

受賞者と受賞理由

◆企業広報大賞「シャープ」

積極的な企業広報を通じて、日本のものづくり、製造業復権をアピール。経営トップ自らが、記者会見や事業説明会などあらゆる機会を活用し、国内でのものづくりや独自の特長を持ったデバイス・商品の創出、さらには環境配慮型経営の展開など、「オンリーワン経営」を広く、積極的に広報し、時代を先取りした企業メッセージを発信している点が評価された。また亀山工場の液晶パネルからテレビまでの一貫生産の訴求により、液晶テレビの「亀山ブランド」を構築するに至った。

◆企業広報経営者賞

永守重信・日本電産社長(CEO)
積極的なM&A戦略のもと、社員との積極的なコミュニケーションを通じて、23社におよぶ買収企業の完全再生を実現してきた。年間30数回におよぶグループ会社の研修で講師をつとめるなど、社員との直接対話により、経営トップの考える原理原則を会社の隅々にまで伝えている。さらに、日本流のM&Aや企業の経営再建のあり方を経営者として世の中に広く訴えかけている。

新浪剛史・ローソン社長兼CEO
創業30周年を迎えるコンビニエンスストアとして、地域の特性に根ざした業態への変革を進める中で、業界全体の可能性や新たな取り組みに関するメッセージをトップ自らが広報パーソンとして発信し続けている。多くの若手経営者に対して勇気を与えている。

◆企業広報功労・奨励賞

青木日照・日本電気広報部エグゼクティブ・エキスパート
25年の長きにわたり国内、海外における広報業務に貢献し、マスコミ関係者の信頼も厚い。各方面のステークホルダーとの幅広いネットワークを築きながら、広報業務を通じて同社および業界の発展に貢献した。

新貝寿行・アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)常務執行役員
日本長期信用銀行の勤務時代と合わせ、広報経験は10年を迎える。金融システム不安が本格化し始めた頃から長銀が国有化される時まで、最後の広報・IR責任者として、また、あらゆるステークホルダーの窓口として広報活動に尽力し信頼関係を維持した。現在は外資系保険会社であるアフラックで新たな広報・IR活動に尽力している。

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