日本経団連タイムス No.2783 (2005年9月15日)

第10回起業フォーラムを開催

−広野・21LADY社長が講演/企業再生の実践例語る


日本経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で「第10回起業フォーラム」を開催し、日本経団連会員企業やベンチャー企業から約100名が出席した。今回のフォーラムは食をテーマに、広野道子・21LADY(トゥエニーワンレイディ)社長が講演を行ったほか、「食」にかかわるベンチャー企業が事業紹介を行った。

フォーラム冒頭のあいさつで高原慶一朗・起業フォーラム代表世話人は、「起業フォーラムでベンチャー企業から受ける刺激を大事にしたいと思っている。日本経団連という場を生かし、大企業とベンチャー企業との意見交流を行いたい」と述べ、起業フォーラムの意義についての考えを示した。

続いて講演に立った広野社長はまず、日本のGDP500兆円のうち、生活関連産業が280兆円にものぼっており、そのうちの約8割が女性の意思で購買決定されていることを紹介、その上で女性が経営の意思決定に携わることの重要性を指摘した。
同社が取り組んだ「洋菓子のヒロタ」の再生においては、男性優位の年功序列制度を改め、若い女性を積極的に登用したことが社員のやる気を促し、業績の伸びにつながったと説明。このほか、サービスの質を改善し、お客が入りやすい店に変えながらも、昔のロゴを復活させて創業時の精神を強調したことで、ブランドイメージを利用した再生ができたと語った。
また、日本企業の大多数を占める中小企業にとって深刻な後継者問題について、このような企業を買収して次世代に引き継ぐことで再成長を果たすことができれば、雇用の活性化にもつながっていくのではないかと述べるとともに、期待感を示した。
参加者との質疑応答では、商店街再生について、自己所有の土地や建物を持つ商店主が現状に安住してしまっているのではないかと指摘し、その上で、やる気のある若い経営者に店を委ねることも必要だと語った。また、ベンチャーキャピタルなどからの直接金融をいかに早く達成できるかが経営の近代化において重要な要素であるとの考えを示した。

企業紹介では、「味香り戦略研究所」「エブリデイワイン」「リブレックス」「世嬉の一酒造」「中洞牧場」「ビッグサン」の6社がユニークな技術や商品を紹介した。

閉会にあたって、原良也・新産業・新事業委員会共同委員長が「食関連産業の幅の広さを感じた。一見参入しやすい業界なだけに、生き残るには競争力が必要であるし、自社をどのようにアピールしていくかも大切ではないか」と述べ、フォーラムを総括した。
閉会後は懇親会が催され、参加者同士で交流を深めた。

【産業本部産業基盤担当】
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