日本経団連タイムス No.2784 (2005年9月22日)

ヘルスケア産業部会が初会合

−活動の進め方など意見交換


日本経団連は9日、東京・大手町の経団連会館において、新産業・新事業委員会(高原慶一朗共同委員長、原良也共同委員長)のもとに今般新設したヘルスケア産業部会(赤星慶一郎部会長)の初会合を開催した。同会合には、委員約30名が出席し、経済産業省商務情報局サービス産業課医療・福祉機器産業室の堀口光室長から、ヘルスケア産業施策についての説明を聴取。その後、同部会の活動の進め方について委員間で意見交換を行った。

堀口室長はまず、ヘルスケア産業について、「将来有望なサービス産業の1つである」との認識を示した上で、(1)サービス産業の現状と課題 (2)経済産業省のヘルスケア産業政策 (3)具体的な取り組み事例 (4)今後の普及促進の方向性――の4点について説明。2004年度に実施された健康サービス産業創出支援モデル事業に関して、代表的な事例をいくつか紹介し、いずれも国の支援が終了した後も事業が継続し拡大していること、また、採算性が高く、市場としてのニーズが見込めることなどを強調した。さらに、新たなヘルスケア産業創出に向けて、「国が呼び水的な支援を行った後は、民間主導で自律的な発展をめざしてほしい」と、産業界に対しての期待感を述べた。

その後会合では、同部会設置のねらいや、今後の進め方などについて事務局が説明し、自由に意見交換を行った。

その中で、同部会が対象とする「ヘルスケア産業」とは、医療機関や医療用医薬品による治療を必要としていない、基本的に健康な人に対して、「健康の維持・増進に資する商品やサービスの提供を行う産業」と定義することを確認。また、当面は、予防が重要で、国民医療費にも大きな影響を与える生活習慣病対策を切り口として取り組んでいくことで合意した。

ヘルスケア産業の直面する課題について、委員からは、「国民の健康への関心は高いものの、なかなか具体的な行動に結びつかない」「健康増進効果を的確に説明するためのエビデンスの収集が必要」などの意見があった。このほか、「健康の維持・増進への関心が低い人たちに対する集中的な働きかけ」「体力年齢に応じた定年制の導入」「個人の健康度に応じた民間医療保険の保険料設定」といった、ヘルスケア産業の育成や発展に向けたアイデアが出された。

同部会は今後、毎月1回のペースで部会を開催し、当面は有識者からのヒアリングや意見交換等を重ね、年内に課題を整理する予定。

【産業本部産業基盤担当】
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