日本経団連タイムス No.2786 (2005年10月6日)

連合と首脳懇談会開催/若年者雇用問題や職場の安全衛生などで意見交換

−奥田会長、若年者雇用問題で自信と実力醸成支援を強調


日本経団連(奥田碩会長)と日本労働組合総連合会(連合、笹森清会長)は9月27日、東京・大手町の経団連会館で首脳懇談会を開催した。日本経団連からは奥田会長はじめ柴田昌治副会長、勝俣恒久副会長、岡村正副会長、岡部弘地方団体長会副議長、大橋洋治雇用委員長、茂木賢三郎少子化対策委員長、加藤丈夫労使関係委員会共同委員長らが、連合からは笹森会長、人見一夫会長代行や副会長ら、あわせて24名が出席した。2005年度の初めての首脳懇談会となった今回の会合では、若年者の雇用問題や職場の安全衛生などについて意見交換を行った。

会合の冒頭にあいさつした連合の笹森会長は、政策面の重要課題として、年金と税金、貯金、借金の四つを挙げるとともに、「特に税制と社会保障制度のあり方については、今後、労使で協調してできるだけ早く取り組んでいきたい」と述べた。さらに、今年50周年を迎えた生産性運動の三原則の1つである「成果の適正配分」について、企業や労働者、消費者に株主を加えた新たな成果配分の考え方を、労使で話し合いたいとの意向を示した。

続いてあいさつした日本経団連の奥田会長は、若年者の雇用問題と職場の安全衛生に関心を示した上で、若年者の雇用問題について、「少子・高齢化が進行している中、日本の将来を担う若者たちが、職業人としての自信と実力を身に付けることができるよう支援していくことが必要である」と強調した。また、職場の安全衛生に関しては、アスベストが大きな社会問題になっていると指摘するとともに、国全体で対処しなければならない大きな問題であると語った。

続いて行われた意見交換では、まず、若年者の雇用問題について連合から、企業と組合、学校、家庭など社会全体としての実効ある積極的な取り組みが必要であるとの意見が出されたほか、学校への企業人講師の派遣や教員へのセミナーの実施などについて、日本経団連が積極的に取り組むよう求めた。
一方、日本経団連からは、若年者の職業観を涵養するためには企業と学校の連携が必要であるとともに、職業に対するイメージと実態とのミスマッチの解消も重要であるとの意見が出された。

次に、職場の安全衛生に関して連合は、アスベスト問題について、事業場からの撤去などの職場環境の整備や、アスベスト含有在庫製品の適切な管理などの必要性を指摘するとともに、メンタルへルス対策については、長時間労働の解消に向けた継続的かつ計画的な対応が重要であるとの意見を述べた。
これに対し日本経団連は、アスベスト問題については万全の措置対策で取り組んでいく必要があるとの認識を示し、国全体として早急に取り組む必要があると語った。また、メンタルヘルス対策については、当たり前の対策を愚直にやり切り、継続的に息長く取り組んでいくことが必要であり、経営トップが方針を示して会社全体で取り組んでいくことが大切であると発言した。

【労働政策本部労政・企画担当】
Copyright © Nippon Keidanren