日本経団連タイムス No.2786 (2005年10月6日)

「キャリア形成支援のあり方に関する研究会」会合で講演

−「キヤノンにおける人材開発への取り組み」


日本経団連の「キャリア形成支援のあり方に関する研究会」は9月7日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。会合では、「キヤノンにおける人材開発への取り組み」と題し、キヤノンの永岡博・人事本部人材開発センターマネジメント人材開発課課長が講演したほか、今後の人材育成支援策の方向性などについて、メンバー間で意見を交換した。

永岡氏はまず、「共生」という同社の企業理念や行動指針を紹介した上で、現在採用している人事制度や評価制度について概説した。その上で、「人事制度そのものは作るのが目的ではなく、すべては運用にある」と述べ、同社の精神が反映できるような人作りを念頭に置き、常に人事の革新をめざしている姿勢を明らかにした。
人材開発については、事業規模・組織の拡大や人員増に伴って、深化した経験や幅広い見聞を積みにくく、リーダーが育ちにくい現状にあることから、意図的・計画的にリーダーを発掘し、育成していくことが急務となっていると説明。同社の次世代リーダーには、(1)自分自身で目標設定して、企画を作り出し、それをトップダウンの形で指示できる「戦略立案・実行力要素」 (2)その前提となる、人の話を聞き、まとめる力を備えた人間的な包容力や実行する勇気といった「人間力的要素」――の2つが重要な要件となっていると言及し、その要件を確実に育てるための育成体系や研修体系、次世代リーダーのためのキャリア・デベロップメント・プログラムについて解説した。
さらに、個の自律や活性化に注力した体制をいかに整えていくかが今後の課題であり、キャリアサポート体制の確立や、職場の意識・風土改革といった支援を行っていくことで、社員1人ひとりが健康でいきいきと働ける職場作りをめざしたいと語った。

その後、同研究会では今後の人材育成支援策の方向性などについての意見交換を行った。

【労働政策本部教育問題担当】
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