日本経団連タイムス No.2787 (2005年10月13日)

韓国・全経連首脳と懇談

−直面する課題など意見交換


日本経団連は9月27日、東京・大手町の経団連会館で、韓国の全国経済人連合会(全経連)との懇談会を開催した。

21回目の開催となった今回の会合には、日本経団連側から奥田会長をはじめ15名が、全経連側からは姜信浩会長、韓日経済協会会長の趙錫來副会長をはじめとする14名が参加し、約3時間にわたって熱の入った議論を繰り広げた。

今回の懇談会の主な議題は、日韓両国が直面している課題や、日韓FTAと日韓産業協力の展望、また、東アジアの経済展望と経済連携の促進に向けた日韓の役割など。会議の冒頭、全経連の姜会長は、2004年の韓国の経済成長が、個人消費の落ち込みから、当初の見込みよりやや低い4.6%にとどまったこと、また、今年もそのような環境が大きく改善する見込みは薄く、05年の成長率も4%前後が予測されることについて報告した。

第1セッションでは、韓国、日本が直面する問題として、FTAなど世界経済の自由化の波への対応や、雇用問題、金融などグローバルスタンダードへの両国の対応などについて報告が行われた。また、両国が抱える社会的な問題として、少子・高齢化問題が話題に上った。その他、観光面についても、「日韓観光会議」の定期開催や、愛・地球博開催期間中の一時的措置であった、韓国からの日本入国時の商用・観光ビザ免除の恒久化、さらには日韓中のプロサッカーチームを一堂に集めた東アジアクラブチーム選手権の開催など具体的な提案もなされ、活発な議論が交わされた。

第2セッションは、昨年11月の第6回会合を最後に政府間交渉が中断している日韓FTAの問題と、日韓産業協力がテーマ。韓国側から、中断している日韓FTA交渉に関し、日本側の農水産分野の自由化においてさらなる高レベルの提示を期待する声があがったのに対し、日本側は、そのような点を含め議論によって問題点を解決すべきであり、とにかく交渉のテーブルに戻ることが肝要との意見を述べた。

最後に、急速な発展を遂げた中国経済に関連し、例えば環境問題について日韓が連携していくことの必要性などが話し合われた。
また、韓国側から、日本経団連が地球温暖化と廃棄物の2つの分野において実施している「環境自主行動計画」を、全経連としても実行すべく検討しているので協力願いたいとの要請があったほか、東アジア地域での経済連携に向けた日本のリーダーシップに期待する旨の発言があった。

今回の会議ではさまざまな重要課題について双方が率直に意見交換を行った。なかでも印象的だったのは、韓国側から、日韓FTAの締結に向けての前向きな発言が随所に見られたことであった。

会議の最後に、日韓両国企業のより一層の緊密化と、両国経済界の日韓両国の経済発展へのさらなる貢献、日韓FTAの早期締結への期待を主旨とする共同声明が、全会一致で採択された。
次回の会合は、来年、韓国にて開催の予定である。

【国際協力本部アジア担当】
Copyright © Nippon Keidanren