日本経団連タイムス No.2787 (2005年10月13日)

財政制度委員会企画部会を開催

−厚労省・太田政策統括官から、人口減少社会における労働政策の課題を聴取


日本経団連の財政制度委員会企画部会(大内俊昭部会長)は9月30日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、厚生労働省の太田俊明政策統括官から、人口減少社会における労働政策の課題について説明を聴いた。

冒頭、太田政策統括官は、最近の雇用情勢について、「厳しさが残るものの、改善が進んでいる」と説明した。
一方、日本の総人口および人口構造については、「2006年をピークに総人口が減少し、07年以降は団塊世代が引退過程に入る」と述べ、持続的な経済発展を実現するためには、「産業構造の高度化への対応に加え、より多くの人々が、意欲をもって働くことで労働力率を高め、能力を十分に発揮することで高い労働生産性を実現することが求められる。みんなで働き、支えあっていくことが重要」と指摘した。
そのためには、「働くことを希望する人々が仕事につき、その能力を十分に発揮していくことが重要」とした上で、「特に、若年者、高齢者、女性の就業促進が求められる」と述べた。

人口減少、少子・高齢化時代における企業経営や雇用管理に関しては、(1)長期的な視点から若年者の採用を行い、その育成と定着を図ること (2)高齢者の優れた技能を次の世代に円滑に継承していくこと (3)女性の能力の有効活用に向け積極的に取り組むこと (4)非正規労働者の職務の見直しや均衡処遇、能力開発に取り組むこと――が必要であると述べた。その上で、「正規労働者と非正規労働者の組み合わせや区分のあり方について、社会全体として議論を深めていくことが重要」と強調した。
さらに、今後の労働政策の課題として、(1)働き方の見直しと仕事と生活の調和 (2)意欲と能力の発揮に向けた職業能力開発の充実 (3)総合的な労働市場政策の推進による適切な雇用・就業の場の提供――を挙げ、一人ひとりが能力を発揮できる「『ふところの深い雇用システム』をめざすことが重要」と指摘した。

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財政制度委員会では、2004年12月に「財政の持続可能性確保に関する提言」<PDF>を取りまとめ、歳出削減・合理化策、歳入確保策、財政政策による経済成長促進策について提言した(05年1月1日号既報)。今年度は、同提言をフォローアップする観点から、特に経済成長促進策に焦点をあて、その有効性などについて掘り下げた検討を進めている。

【経済本部経済政策担当】
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