日本経団連タイムス No.2788 (2005年10月20日)

新規学卒者採用選考へ06年度「倫理憲章」発表

−公平・公正な採用徹底を/「均等法に沿った活動」促す


日本経団連は18日、2006年度の「新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章」(倫理憲章)を発表した。倫理憲章は、1997年の就職協定廃止以降、企業に責任と秩序ある採用活動を促すことを目的に毎年策定しており今年で10回目。今回発表された倫理憲章は、2007年の春に卒業する新規学卒者を対象に、(1)正常な学校教育と学習環境の確保 (2)採用選考活動早期開始の自粛 (3)公平・公正な採用の徹底 (4)情報の公開 (5)採用内定日の順守 (6)大学院修士課程修了者や高校卒業者への配慮――を企業に求めている。

今年の倫理憲章は、昨年度の内容をほぼ踏襲しているが、女子学生が不利にならないよう、大学側が女子学生に対する公平な採用情報や就職機会の提供を強く要望していることを受けて、「3.公平・公正な採用の徹底」に関し、「男女雇用機会均等法に沿った採用選考活動を行うのはもちろんのこと」と、配慮すべき点が明確に伝わるように表現を改め、その実践を企業に促すこととした。

また、一昨年より倫理憲章発表後に、憲章趣旨の周知徹底と実効性を高めることを目的として、日本経団連の会員企業に賛同を呼びかけ、「倫理憲章の趣旨実現をめざす共同宣言」(共同宣言)を発表している。賛同企業は一昨年が644社、昨年が814社と増加しており、企業からは「共同宣言は採用選考活動の早期化に一定の歯止めをかける効果があった」「共同宣言に賛同した企業だけでなく、それ以外の企業への影響も大きかった」などの声が寄せられている。

さらに大学側からは、企業が就職・採用環境の改善に向けて一層の努力をする姿勢を示したものとして高い評価を得た。こうしたことから、日本経団連では、今年も倫理憲章をより実効性の高いものとするために共同宣言を実施することとした。多くの企業が倫理憲章順守の意思を表明することで、採用選考活動の早期化を抑制し、公平・公正で秩序ある就職・採用活動の実現に向けて、積極的に取り組む姿勢を明らかにしていきたいと考えている。なお、今年の共同宣言は11月下旬を目途に取りまとめ、発表する予定。

【労働政策本部教育問題担当】
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