日本経団連タイムス No.2789 (2005年10月27日)

地球温暖化防止へ意見書発表

−新たな国際枠組構築求める


産業界の役割指摘

日本経団連は18日、意見書「地球温暖化防止に向けた新たな国際枠組の構築を求める」を取りまとめ公表した。

現在、地球温暖化対策のための国際枠組は、1992年に合意された国連気候変動枠組条約と、これに基づいて1997年に採択、今年2月に発効した京都議定書がある。しかし、京都議定書には、(1)温室効果ガスの排出削減義務が課せられたのは一部の先進国に止まり、全世界のCO2排出量の3割程度しかカバーできていない (2)目標期間が2008年〜2012年と短期間であり、中長期的に費用対効果の高い対策が取れず、長期的な技術革新も促進しにくい (3)国別の絶対値削減目標が経済成長を阻害するおそれがあるため米国や途上国は参加に否定的――といった問題がある。
こうした中、京都議定書は、今年末から、第1約束期間後(2013年以降)の先進国の数値目標について議論を開始することとしており、同意見書では、京都議定書のアプローチにとらわれない、実効性ある国際枠組の構築に向けて検討すべき課題を整理するとともに、産業界の果たすべき役割について指摘している。

同意見書では、まず、地球温暖化問題に関する科学的知見については、未だ解明されていない点が多いことから、日本も積極的な貢献を図りつつ、さらに知見を蓄積していくことが必要と指摘。その上で、新たな枠組の構築に向けた具体的課題として、(1)米国や主要排出途上国を含む全ての国の参加と、各国の特色を活かした温暖化問題への取り組みの推進 (2)温暖化問題解決の鍵である技術の開発・普及を促進する仕組みの整備 (3)中長期の目標期間の設定と定期的な進捗状況の確認を通じた対策の推進 (4)国際的な衡平性の確保と、原単位目標など多様な目標設定 (5)枠組条約の下での国際交渉の継続とG8やアジア太平洋パートナーシップ等、多様なイニシアティブを通じた議論の活性化――を挙げ、検討を求めている。
また、国際的な温暖化対策の推進においては、枠組条約の下、国・地域単位の取り組みが今後とも基本となるが、新たな枠組を実効あるものとする上で、国境を越えて活動を展開する企業・産業界は、こうした枠組を補完・強化していくことが可能とし、積極的な取り組みを求めている。また、企業は技術の研究・開発から市場化に至るまで一貫した担い手であり、とりわけ温暖化対策技術の開発・普及で果たすべき役割が大きいと指摘している。さらに、異業種間、各国産業界間の連携を一層強化しながら、産業界の多様なネットワークを活用し、グローバルな温暖化対策を展開していく必要があると訴えている。

今後、日本経団連では、実効ある国際枠組の構築と産業界の果たすべき役割について、内外関係者と議論を深めるとともに、日本企業が、省エネや省CO2技術で世界をリードし得る大きな可能性を有していることから、これらの分野を中心に、日本産業界の温暖化対策への取り組みを強化することとしている。

【環境・技術本部環境・エネルギー担当】
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