日本経団連タイムス No.2790 (2005年11月3日)

「原油価格高騰の影響に関する懇談会」開催

−石油精製・元売業界、運輸業界、荷主ら関係者間で意見交換


日本経団連は10月18日、東京・大手町の経団連会館において、「原油価格高騰の影響に関する懇談会」を開催した。同懇談会は、さる9月27日に奥田碩日本経団連会長と北側一雄国土交通大臣との会談で、大臣から「(原油価格高騰による)運送事業者の窮状について荷主にも理解してほしい」との要請を受け、輸送委員会が産業問題委員会の協力を得て開催したもの。
日本経団連の奥田会長、草刈隆郎副会長、岡部正彦輸送委員会共同委員長、平井克彦流通委員長をはじめ、石油精製・元売業界、運輸業界、荷主の各団体・企業および国土交通省から95名が出席した。

懇談会は、岡部輸送委員長を座長として行われ、冒頭、奥田会長から「日本経団連は政策提言を行う団体。運賃は運送事業者と荷主が個別に話し合って決められるもので、日本経団連はこれに関与できない。しかし、北側大臣の要請があり、関係者の間での、実情の説明と率直な意見交換の場を設けた」と開催の趣旨を説明。

続いて、運輸事業者の立場から全日本トラック協会の中西英一郎会長、日本内航海運組合総連合会の栗林宏吉理事が、燃料費の高騰により経営が悪化している状況を説明し、荷主企業に理解を求めた。

また、石油精製・元売業界の立場を代表して、渡文明石油連盟会長は、「今年の1〜9月で原油価格は1リットル当たり16.3円上がり、業界全体では約4兆円の負担増となっている。とても一業界で負担できるものではない。新しい価格体系に移行した上で、国民全体で負担していくべき」と指摘した。

行政の立場からは、国土交通省の宿利正史自動車交通局長、星野茂夫海事局長が国土交通省としての、この問題に対する取り組みを説明した。

その後の意見交換では、日本経団連の草刈副会長が「外航海運に比べ、価格転嫁が難しい内航業界・トラック業界において、荷主に一部吸収していただくスキームをとることを考えなければならない」と問題提起し、平井流通委員長からも最適SCM(サプライチェーンマネジメント)構築に向けた共同化や業種別一括物流の推進などが提案された。

また、日本経団連の立花宏専務理事は「日本経団連にとっては、輸送事業者、荷主のどちらも大切な会員企業である。荷主の中にも原料として原油を使っており、苦境に立たされている企業がある。この問題は、産業の実態、企業の業績によってさまざまな取り組みがなされており、一律に1つの方向にまとめるのは困難。日本経団連として、原油価格の高騰が日本経済のリスク要因にならぬよう、税制を含めた適切な経済運営を求めていきたい」との考えを示した。

最後に岡部輸送委共同委員長が「運輸業界の窮状について参加者の理解を深めることができた。出席者の皆さまには日本経団連が設けたこの懇談会の内容を持ち帰って報告いただき、契約当事者間での話し合いの進展のきっかけになればと思う」と締めくくった。

【産業本部国土担当】
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