日本経団連タイムス No.2790 (2005年11月3日)

財政制度委員会企画部会を開催

−内閣府・有本総括政策研究官から研究開発促進への政策課題聴取


日本経団連の財政制度委員会企画部会(大内俊昭部会長)は10月18日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、内閣府経済社会総合研究所の有本建男総括政策研究官から、日本の研究開発促進に向けた政策課題について説明を聴いた。

冒頭、有本総括政策研究官は、「第1期および第2期科学技術基本計画により、科学技術創造立国としての基礎固めが進んだ」と説明。具体的には、(1)多くの分野で研究開発水準が向上するとともに、世界第2位の論文発表数や特許の質・量の増加など、世界をリードする研究成果の出現 (2)産学協同研究実施件数の増加や国立大学の法人化など、産学官連携や大学・研究機関の改革の進展――を挙げた。
他方、「科学技術の社会・経済へのインパクト、価値の創造という面ではいまだ弱い」と述べた。また、科学技術政策を取り巻く状況について、欧米のみならずアジアでも科学技術の重要性への認識が高まっていること、環境と経済の両立といった地球規模の課題克服が急務となっていることを指摘した上で、「わが国としても、引き続き研究開発を促進し、国際競争力強化を図る必要がある」とした。

こうした観点から、来年度の実施に向けて検討が進められている第3期科学技術基本計画では、(1)社会・国民への成果の還元 (2)投資の選択と集中の徹底 (3)個人の重視 (4)世界最高の科学技術水準をめざす構造改革 (5)総合科学技術会議の司令塔機能の強化――がポイントとなるとした。
このうち、投資の選択と集中の徹底については、「社会・国民のニーズを踏まえ、重点分野を絞り込み、限られた財政資源を有効に活用する」と説明した。
また、個人の重視については、科学技術を担う人材の育成・強化に向けて、「特に、若手研究者の支援、女性研究者の活躍機会の拡大、優れたシニア研究者の活用が不可欠」と指摘した。
さらに、世界最高の科学技術水準をめざす構造改革については、「大学の競争力の強化、産学連携による先端融合研究拠点の整備などにより、絶えざるイノベーションの創出を図る」と述べた。

最後に、「大学側には、『わが国の競争力向上に繋がる新たな価値を創造する』という意識が求められ、企業側も、産学連携の新たな段階として、研究者の新技術を事業に結びつける組織的・継続的な制度の構築をめざす必要がある。政府としても、規制緩和などの総合的施策を展開していきたい」と強調した。

【経済本部経済政策担当】
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