日本経団連タイムス No.2792 (2005年11月24日)

フック・ベトナム計画投資大臣と懇談

−フック大臣、投資環境の整備状況などを説明


日本経団連の日本ベトナム経済委員会(岡素之委員長)は14日、東京・大手町の経団連会館でベトナム社会主義共和国のヴォ・ホン・フック計画投資大臣ら一行との懇談会を開催した。懇談の中でフック大臣は、べトナム経済の現状や投資環境の整備状況を説明するとともに、日本企業の積極的な投資誘致を促した。

懇談の冒頭、フック大臣はまず、ベトナムの経済動向について語り、2000年以降のGDP成長率は平均7.5%以上と、毎年前年度を上回る伸び率で推移しており、今年も8.5%という高い成長率になる見込みであると述べた。なかでも工業部門の伸び率は、前年比プラス16.5%に達すると説明。現在策定中の5カ年計画においても、GDP成長率8%を目標に掲げ、経済発展とともに社会の安定や環境の保全、教育の充実に注力していく意向を語った。
さらに、電子産業や通信技術といった工業分野や中小企業施策の重視・拡大、農産物分野の輸出拡大、エネルギーや交通網などのインフラ整備、地域間の貧困格差是正を重要課題として取り組むとともに、透明性・公開性を持った財政・金融改革を早急に進めていることを明らかにした。具体的には、(1)市場経済のシステムと整合性のあるものにする (2)WTO加盟に向け、国際的なルールに沿った法整備を進める――ことを目的に、銀行法や保険法などを改正していると説明。特に、債務保証や紛争処理の適切化、投資優遇措置適用の際の手続きの簡素化などが盛り込まれた「統一投資法」については、外国企業が投資をする上で有利なものであると強調し、「懸念は不要である」との考えを示した。

日本企業の積極的投資を促す

またフック大臣は、日本が対越直接投資の実行額でトップであることやベトナムの経済成長、インフラ整備などに大きく寄与していることに謝意を示した上で、「ベトナムにとって日本は重要なパートナー。また現在は、日越経済関係のさらなる強化に向けた最大の好機である」と述べ、日本企業のベトナムへのさらなる進出、とりわけ今後もベトナムが比較優位を持ち得る産業への投資やベトナム国内の地域の発展のバランスを考えた投資――などを日本経団連に呼びかけた。
その後の懇談では、ベトナムの工業地域におけるエネルギー確保の問題やインフラ整備の課題、日越共同イニシアティブの次なる協議のあり方、WTO加盟に向けた取り組みなどについて意見交換した。
最後に岡・日本ベトナム経済委員長は、日越関係の今後の一層の発展に向けて尽力したいとの抱負を語った。

【国際協力本部アジア担当】
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