日本経団連タイムス No.2793 (2005年12月1日)

日本ロシア経済協力フォーラム開催

−プーチン大統領が出席/経済交流拡大で意見交換


日本経団連(奥田碩会長)の日本ロシア経済委員会(安西邦夫委員長)とロシア産業家企業家連盟(ショーヒン会長)は11月21日、都内で日本ロシア経済協力フォーラムを開催、日ロ両国の経済人など約500名が参加した。同フォーラムは、プーチン・ロシア連邦大統領訪日の機会をとらえ、今後の日ロ経済関係の発展に向けて両国経済人が率直な意見交換を行うことを目的に開催したもの。同フォーラムに出席したプーチン大統領は、日ロ経済交流の拡大に向けてスピーチを行った。

スピーチの中でプーチン大統領は、ここ数年、両国間の協力はますます増大しているとして、「両国関係の歴史の中で最も好ましい期間」と評価。中でも経済協力は重要な意義を持っており、力強くかつ長期にわたる経済交流は「創造的なパートナーシップ構築に向けての政治家の努力を支援するもの」であると述べた。
続いてプーチン大統領は、ロシアの経済成長率の高さや対外債務の前倒し返済、低い税率などに言及、投資環境改善が進んでいることを強調した。また、その結果、ロシアは主要な格付機関により、投資適格級の格付を得たと自信を示した。
シベリア・極東開発の問題についてプーチン大統領は、日本を含むアジア太平洋諸国に原油を供給するためのパイプラインを太平洋沿岸まで建設する計画、サハ共和国の炭田計画に将来性があるとした。その他、ロシアにとっての重要課題の例として、京都議定書の履行や、極東輸送ネットワーク、情報通信、宇宙開発、原子力エネルギー、都市開発、観光などの分野を挙げた。

奥田会長、経済関係発展の可能性指摘

これを受けてあいさつに立った奥田会長は、日ロの経済関係は拡大基調にあるとしながらも「日ロの経済力・潜在力からみるとまだまだ大きく発展できる」と指摘。そのためには両国経済人がこれまで以上に相互理解の促進に努め、具体的協力の可能性を探る必要があると述べ、「このフォーラムがその契機になるものと大いに期待する」と結んだ。

また安西委員長は、日本ロシア経済委員会が今年、日本経団連会員企業を対象に実施した、ロシアのビジネス環境に関するアンケート調査の結果を踏まえ、日本企業のロシア・ビジネスに対する考え方やビジネス拡大に向けた要望について報告。ロシア市場を有望視する日本企業が7割に達していることや、投資環境改善に向けたロシアの制度改正・インフラ整備が進展していることを指摘する一方、日ロ経済交流のさらなる拡大には、ロシアの法制・税制の一層の整備と運用面での透明性の確保が不可欠であることを強調した。

これに対しロシア側からは、そうした努力を継続中であるとの発言があったほか、エネルギーや輸送、観光、通信・情報、金融、ロシアの有望地域との協力といった分野における具体的な日ロ協力に関する提案が行われた。
同フォーラムは最後に日ロ双方の参加者が、フォーラムで提起された各種課題の実現を含め、両国経済界が協力し、両国政府とも連携して、日ロ経済交流のさらなる拡大に取り組んでいくことを確認した。

【国際経済本部欧州・ロシア担当】
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