日本経団連タイムス No.2793 (2005年12月1日)

温暖化対策環境自主行動計画2005年度フォローアップ結果発表

−5年連続で10年度目標クリア/評価や今後の方針など示す


日本経団連は11月18日、温暖化対策環境自主行動計画の2005年度フォローアップ結果をとりまとめ発表した。日本経団連では、京都議定書の採択に先立って1997年に策定した「環境自主行動計画」の中で、「2010年度に産業部門とエネルギー転換部門からのCO2排出量を、1990年度レベル以下に抑制するよう努力する」ことを統一目標に掲げ、産業界の温暖化防止への取り組みを強化するとともに、毎年そのフォローアップを実施してきた。8回目となる今回のフォローアップは、計画に参加している産業・エネルギー転換部門35業種からの04年度のCO2排出量実績を調査したもので、概要は次のとおり。

各業種・企業、省エネ対策で大きな効果

1.2010年度の目標水準を5年連続でクリア

産業・エネルギー転換部門(35業種)からのCO2排出量は、基準となる1990年度で5億467万トンである。これは、同年度の日本全体のCO2排出量の約45%、産業・エネルギー転換部門全体の排出量の約82%に相当する。
35業種の04年度のCO2排出量合計は5億199万トンで、90年度比0.5%減少(前年度比では0.1%増加)となり、2000年度から5年連続で目標をクリアした。
なお、一部の原子力発電所の長期停止に伴う電力のCO2排出原単位悪化による影響を除くと、90年度比で2.3%減の4億9300万トンと試算される。

2.業種別動向

今回参加した35業種のうち、CO2排出量が減少した業種は、90年度比で20業種、前年度比で18業種であった。
各業種では、(1)CO2排出量の削減 (2)エネルギー使用量の削減 (3)CO2排出原単位またはエネルギー原単位の向上――のうち、自業種の指標を選択し、目標を定めて、その達成に取り組んでいる。

3.自主行動計画の取り組みの評価

(1)産業・エネルギー転換部門のCO2排出量変化の要因

35業種からの04年度のCO2排出量が、90年度比0.5%減となった要因は、生産活動量が9%近く増加したにもかかわらず、活動量当たりの排出量が大幅に改善したためで、各業種・企業による省エネ対策が大きな効果を挙げたといえる。

(2)2010年度の目標達成に関する試算

産業・エネルギー転換部門の排出量の約9割を占める主要7業種の見通しをもとに、同部門35業種からの2010年度のCO2排出量を試算したところ、90年度の排出量を2.6%下回る結果となった。引き続き自主行動計画の取り組みを強化することによって、「90年度レベル以下」という全体目標の達成は十分に達成可能といえる。

4.民生・運輸部門における取り組み強化

日本全体のCO2排出量の動きを見ると、90年度比で民生業務部門等からの排出量が20〜30%増加しており、自主行動計画においても、これらの部門での取り組み強化に努めている。民生業務部門10団体・企業、運輸部門13団体・企業が参加し、それぞれ目標を定めて温暖化対策に取り組むとともに、産業・エネルギー転換部門の参加業種においても、オフィスの省エネや物流効率化などを通じて民生・運輸部門のCO2排出削減に貢献する事例が増えている。

5.京都メカニズムを活用した海外での温室効果ガス削減事業

日本の企業が持つ優れた技術を海外でのCO2排出抑制に活用することは、地球規模での温暖化防止に大きく貢献する。
このため、海外での削減量を日本の京都議定書での約束達成に活用できるクリーン開発メカニズム(CDM)や共同実施(JI)は、自主行動計画の目標達成を補完する手段といえる。
今回の調査では、世界各地で新エネルギー事業やメタンガス回収など具体的な事例が多数報告された。

6.今後の方針

本年2月に京都議定書が発効し、4月には政府の「京都議定書目標達成計画」が閣議決定された。同計画においても、「自主行動計画は産業・エネルギー転換部門の対策の中心的役割を果たすもの」と位置付けられており、日本経団連としては今後とも、参加業種に対して、個々の目標達成に向けた対策の着実な実施を求めるとともに、2010年度にCO2排出量を90年度レベル以下に抑制するという全体としての統一目標の達成に向けて努力していくこととしている。

【環境・技術本部環境担当】
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