日本経団連タイムス No.2793 (2005年12月1日)

カラマンリス・ギリシャ首相と懇談

−カラマンリス首相、経済関係の緊密化を強調


文化交流促進にも言及

日本経団連は11月11日、東京・大手町の経団連会館でカラマンリス・ギリシャ首相との昼食懇談会を開催、日本経団連からはヨーロッパ地域委員長を務める米倉弘昌副会長らが出席した。

席上、カラマンリス首相は、「日本とギリシャの経済関係は、そのポテンシャルに比べ、低水準にとどまっている」と述べ、両国の貿易額が長期トレンドでとらえれば、上昇傾向にあるものの、両国経済のダイナミズムに見合うものではなく、日本からギリシャへの輸出が10億ユーロであるのに対し、ギリシャから日本への輸出は1億ユーロに過ぎず、ギリシャの大幅な入超になっていることを指摘した。

その上でギリシャの特徴として、(1)南東欧で唯一のEU加盟国として、黒海と欧州を結ぶ交易の重要な中継点にあり、政治・経済の安定性を保っている (2)輸送やテレコムネットワークなどのインフラが整備されている (3)パイプライン・ネットワークが整備されており、エネルギー供給が安定している(パイプラインの中東までの延伸も決定している) (4)事業環境が整っている。法人税制の改革や投資インフラの整備を進めるとともに、民営化に積極的に取り組んでいる (5)人材が豊富である (6)大きな消費市場に隣接しており、黒海や地中海に面した戦略的位置にある(旧ユーゴスラビア諸国への投資金額ではギリシャは首位。特に銀行では800行に及ぶこれらの国の銀行のうち、14%をギリシャ企業が占めている。ギリシャ第2の都市テッサロニキには、バルカン半島の入り口という地の利を生かし、黒海開発銀行本部と貿易センターがある) (7)世界有数の観光地であり、極めてユニークな風土を有している (8)商船海運基地として輸送業が発達している (9)ワインやオリーブ、フルーツなど健康食品として注目される高級食材の供給地である――ことを列挙。ギリシャがこうした経済的優位性を持っているにもかかわらず、日本・ギリシャ間の経済関係は低水準であり、両国の政治的関係が非常に良好であるのに比べ経済関係は見劣りすると述べ、両国の経済関係緊密化を強く訴えた。

文化大臣を兼務するカラマンリス首相はまた、両国の文化交流促進についても言及し、「例えば、学会間のコミュニケーションを高めるなど、経済関係のみならず文化関係についても一層活発な交流が実現するよう願っている」と述べた。

【国際経済本部欧州・ロシア担当】
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