アスベスト(石綿)による中皮腫や肺がんといった健康被害が拡大する中、被害の防止と被害者救済制度の確立が急がれている。既に、日本経団連では、8月に奥田会長から会員企業・団体に対し、新たな被害が拡大しないよう、万全の防止策を呼びかけたところである。
一方、政府・与党では7月から関係閣僚会議を開催し、来年の通常国会において新法「石綿による健康被害の救済制度に関する法律(仮称)」の成立をめざし、準備を進め、11月29日に大綱案を公表した。
大綱案では、被害者救済に向けて新たに「石綿健康被害救済基金」を設立し、医療費や療養手当てなどの救済を行うこととになっている。基金の費用拠出については、従業員を雇用する事業主から薄く広く徴収する部分と、石綿に関連の深い企業から追加的に徴収する部分から構成され、政府および地方公共団体からも予算の範囲内において費用を拠出することができるものとしている。
しかし、石綿による健康被害の拡大への対応は、事業主のみならず、政府や自治体も同時に主体的役割を果たすべきである。
そこで、日本経団連では、12月5日開催の会長副会長会議において、要望書を取りまとめた。
日本経団連では、関係者に対し早急に働きかけを行う予定である。