日本経団連タイムス No.2794 (2005年12月13日)

第294回ILO理事会

−07年総会の技術議題決定


国際労働機関(ILO)の第294回理事会が11月3〜18日の日程で、ジュネーブで開催された。今回の理事会では、2007年総会における国際文書作成をめざす技術議題として3議題が決定した。

第1の議題は、今年のILO総会で、使用者側と多くの政府が、内容の硬直性を理由に投票を棄権したため、条約案が廃案となった「漁業における包括的国際労働基準」を再度取り上げ、新たな条約・勧告の作成をめざすことである。
第2の議題は、グローバル化が進む今日において、ILOの基本目標であるディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)促進に向け、ILOの活動を再定義するとともに、どのようにILOの機能を強化していくかなどを討議する「21世紀初頭におけるILOの中核的使命遂行とディーセントワーク促進のための機能強化」(一般討議)となった。
さらに第3の議題は、民間企業の経済発展や雇用創出への多大な貢献に対する認識が高まっている中、このような企業の積極的役割をさらに促進するための政策などを検討する「持続可能な企業の促進」(一般討議)に関する討議。この議題は使用者グループが提案し、受け入れられたものである。

ILOの構成員(各国政労使)の間では、政策決定機関である総会と理事会の頻度や長い会期が問題視され、また事務局作成レポートの内容精査などに費やされている時間を、より政策的な議論に振り向けるよう運営を改善することが共通課題として認識されている。今回の理事会では特に総会のあり方について討議を行った。その結果、政労使で構成される小委員会を新たに設置し、来年3月の理事会に具体的な改革案を提出することを求めるとの結論が出された。なお、この小委員会のメンバーには、日本政府理事、日本使用者側理事が任命された。
また、長年にわたって強制労働が問題になっているミャンマーに関して、今回の理事会でも議論が行われた。ILOから派遣された連絡官に対する脅迫や、一時、政府がILO脱退を表明したことに対して、ミャンマー政府への制裁強化の声が上がったが、ミャンマー大使がILOへの協力を表明したことから、来年3月の理事会までにILOとの効果的な対話を再開することなどを促す結論が採択された。

CAPE理事会も

なお、ILO理事会会期中の11月10日に、アジア太平洋経営者団体連盟(CAPE)の理事会がジュネーブで開催され、他団体との交流状況などの報告とともに、来年開催予定の北京における「技術会合」、およびウランバートルにおける「アジア太平洋経営者サミット」の準備について議論を行った。

【労働法制本部国際関係担当】
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