日本経団連タイムス No.2795 (2006年1月1日)

訪インド・ミッション派遣

−シン首相らと意見交換


日本経団連は、11月27日から12月2日にかけ、奥田碩会長を団長とする訪インド・ミッションを派遣した。インドでは、デリーとバンガロールを訪問し、マンモハン・シン首相、チダンバラム財務大臣、カマル・ナート商工大臣といった中央政府要人と懇談したほか、CII(インド工業連盟)や、カルナータカ州政府要人とも意見を交換した。また、インフォシステクノロジーズ(IT企業)、トヨタキルロスカモーターの視察なども行った。

今回のミッションで懇談したシン首相は、「インド国民は日本人を尊敬している。今後、強固で持続的な両国経済関係を築いていきたい。現在、インフラ整備に力を入れており、日本のODAも活用しつつ整備を進めたい。私はインドを高度成長させ、そのメリットが広く国民に裨益するような国づくりをしたい。また、インドとして日本・ASEANなどと協力し、アジアの経済共同体の形成に貢献したい」との考えを示した。
また、チダンバラム財務大臣は、「日本からの投資に期待する。中国や韓国との経済関係は拡大しているが、日本は出遅れている。日本も投資を“語る”だけでなく、実際に投資を“実行”してほしい。インフラが未整備という指摘はもっともであるが、そうであればなおさら、日本にインフラ投資も期待したい」と発言。
ナート商工大臣は、「インドは人口構成が若く、人材も豊富という優位性があり、日本と良好なパートナーシップが築ける。インドとしては、現在、インフラ整備の優先順位を高くしている。日本には、援助と投資のリンクによるインドのインフラ整備への貢献に期待したい」と述べた。

今回のミッションでは、インドがBRICsの一員として着実に成長しており、長期的な観点からマーケットとして、また生産拠点として有望であることを確認。その一方でインドに対して、インフラ(道路、電力、水、港湾、鉄道など)の早急な整備や、労務関係の改善(過度に労働者に保護的な労働法の改正)などが必要であることを伝えた。
インド側からは、日印経済関係の一層の緊密化、特にインフラ整備への協力も含めた日本からの投資拡大への強い期待と要請があり、日本経団連としても、今後、官民が協力してインドの発展に協力していく必要があることを感じた。
日本経団連では、今回のミッションの成果を関係各方面に伝え、対インド経済関係の強化に努力していく考えである。

【国際協力本部アジア担当】
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