日本経団連タイムス No.2795 (2006年1月1日)

連合と首脳懇談会を開催

−「少子・高齢化」「雇用」問題などで意見交わす


日本経団連と連合は12月8日、都内で首脳懇談会を開催した。日本経団連からは奥田碩会長はじめ御手洗冨士夫副会長、柴田昌治副会長、勝俣恒久副会長、岡村正副会長、西室泰三評議員会副議長、岡部弘地方団体長会副議長、茂木賢三郎少子化対策委員長、加藤丈夫労使関係委員会共同委員長、鈴木正一郎労使関係委員会共同委員長らが出席。連合の高木剛会長はじめ会長代行や副会長ら、あわせて33名と、少子・高齢化問題や雇用問題、社会保障制度改革などについて意見交換を行った。日本経団連と連合の今年度の懇談会は、今回が2回目。

冒頭のあいさつで、連合の高木会長は、連合の重要課題として、労働組合組織率低下の歯止め、二極化・格差拡大の是正、税や社会保障における負担増と給付削減への対応などを挙げるとともに、「革新とは時代の進歩を信じることであり、時代の変化が目まぐるしい中でも、進歩を信じながら労働運動を展開していきたい」との考えを示した。

続いて日本経団連の奥田会長があいさつ。株式市場の好況の象徴となっている“勝ち組”ばかりを取り上げる社会風潮に警鐘を鳴らした上で、「景気が回復している今こそ、過去の反省を忘れることなく心の豊かさを大事にするとともに、経営者として高い倫理観を持ち、将来に向けて進んでいくことが重要である」と述べた。

意見交換

続いて行われた意見交換では、まず、少子・高齢化問題が取り上げられ、日本経団連側から、「女性、高齢者、外国人など多様な人材を有効活用するためには、仕事と生活の調和が図られる働き方としての『ワーク・ライフ・バランス』が極めて重要。これは、少子化対策にも寄与するものである」「『ワーク・ライフ・バランス』は育児支援のみならず、オフィスワークの生産性を向上させる効果がある。前向きに取り組んでいきたい」「少子化対策では、公的給付などの経済的なインセンティブ、企業内における子育て支援体制の充実、働くことの社会的価値観の変革が必要である」などといった意見が出た。
一方、連合からは、(1)社会的価値観という視点からは男女が共同参画できる働き方を実現するための環境整備が重要 (2)高齢者が労働を通じて社会貢献できる機会の提供に向けた積極的な対応が企業に求められている (3)仕事と生活の調和を図るためには正社員の長時間労働を解消する必要がある――などの発言があった。

雇用問題については、日本経団連から、(1)グローバル化の中で企業が持続的に成長するためには、実力を発揮した者が報われる公平・公正な人事制度の確立が不可欠 (2)高齢者活用のあり方について、各社の実態に応じた制度構築に向けて、地域や教育機関も含めた雇用機会の創出など柔軟な考え方も必要 (3)若年者雇用の問題について、若者の生きる力と働く力を醸成するため、教育と地域、産業が連携しながらそれぞれの役割を十分に発揮していくことが重要――などの意見が示された。
連合はこれに対して、「非典型雇用が増加しているが、短期的な効率性の追求に行き過ぎることなく、企業の競争力を確保するための努力が必要」「若年者雇用については、『若者の人間力を高めるための国民会議』での取り組みのように、若年層に対する社会的メッセージを発信し続けることが重要」などの考えを述べた。

社会保障制度改革については、政府が示した「医療制度改革大綱」に対する評価と今後の課題を中心に、意見を交換。日本経団連は「レセプトのオンライン化など医療のIT化が推進されることは評価できるが、財政運営の責任体制の不透明さや非常に複雑な制度であるなど、課題も多い」と指摘。連合からは「負担増、給付削減ありきの改革で、労使に大幅な負担を求める内容となっており、今後、連合、日本経団連、健保連の連携による取り組みを進めるべきである」といった意見があった。

【労働政策本部労政・企画担当】
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