日本経団連タイムス No.2799 (2006年2月2日)

福利厚生費が過去最高更新

−福利厚生費調査集計結果/2年連続で10万円台に


図表1「福利厚生費の項目別内訳(全産業平均)」

日本経団連は1月31日、第49回福利厚生費調査(2004年度)の集計結果を発表した。これによると、法定福利費、法定外福利費がともに増加し、企業が負担した福利厚生費が過去最高を更新したことなどが明らかとなった。同調査結果の概要は次のとおり(図表1参照)。

企業が負担した福利厚生費は、従業員1人1カ月平均10万2372円(前年度比1.5%増)と2年連続で10万円台となった。そのうち、社会保険料等の企業拠出分である「法定福利費」は7万4106円(同1.7%増)、企業が任意に行う福祉施策に要する費用である「法定外福利費」は2万8266円(同1.1%増)となった。
法定福利費の増加は、月例給与と賞与・一時金を含めた現金給与総額(57万8054円)の伸び(前年度比2.1%増)に対応したものである。なお、法定福利費も過去最高額となっている。
現金給与総額に対する比率は、福利厚生費全体で17.7%(対前年度比0.1ポイント減)となり、そのうち、法定福利費は12.8%(同0.1ポイント減)、法定外福利費は4.9%(同率)である。

法定外福利費、全体では2年ぶりに増加

法定外福利費は全体では2年ぶりに増加したが、項目別にみると、「医療・健康」「共済会」「慶弔関係」では減少した。前年度調査で減少したライフサポートが今回上昇に転じたことが、法定外福利費増加の大きな要因である。
退職金(退職一時金と退職年金の合計額)は、従業員1人1カ月平均8万499円、前年度比12.5%減と、4年ぶりの減少となった。現金給与総額に対する退職金の比率も13.9%(前年度16.3%)と、その割合は低下した。

図表2「1970年を100としたときの各項目の値の推移」

図表2は、1970年の現金給与総額、法定福利費、法定外福利費、退職金のそれぞれの額を100としたときの推移を表したものである。法定外福利費は現金給与総額とほぼ同じ伸びを示しているものの、法定福利費と退職金は、現金給与総額の伸びを上回っており、総額人件費の観点から、企業にとって重要な要素となっていることがわかる。


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日本経団連福利厚生費調査は、1955年から毎年実施し、今回で49回目。ほぼ半世紀にわたる企業の福利厚生費の動向を把握できる日本において唯一、毎年実施される福利厚生費の調査である。同調査は、法定福利費、法定外福利費の各項目について企業の年間負担総額を年間延べ従業員数で除した1人1カ月当たりの平均値(加重平均)を産業別、規模別に算出したものである。今回の回答企業数は661社。

【労働政策本部雇用・労務管理担当】
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