日本経団連タイムス No.2800 (2006年2月9日)

谷垣財務相との意見交換会開く

−減価償却制度見直しなど要請


日本経団連は1月25日、都内のホテルで谷垣禎一財務大臣はじめ、財務省首脳との意見交換会を開催した。財務省からは谷垣財務相、竹本直一副大臣、赤羽一嘉副大臣、西田猛大臣政務官、野上浩太郎大臣政務官らが、日本経団連からは奥田碩会長、森下洋一評議員会議長、御手洗冨士夫副会長、櫻井孝頴評議員会副議長らが出席。歳出・歳入一体改革のあり方などをめぐり、意見を交換した。

谷垣財務相、構造改革推進へ決意を表明

会合の冒頭、奥田会長はあいさつの中で、日本経済は民間と政府の努力によって回復し、閉塞感から抜け出すことができたと指摘。「今後も(官民が)協力して、経済をさらに発展させていきたい」と述べた。

続いてあいさつした谷垣財務相は、はじめに景気の現状に触れ、「日本経済は、民間需要中心の回復軌道をたどっている」とした上で、「こうした動きを地域や中小企業に広く浸透させるためにも、構造改革をさらに推進していく」との決意を示した。
また、来年度予算案について、「歳出面においては、医療制度改革や国と地方の『三位一体の改革』など、さまざまな改革の成果を反映させるとともに、歳出全般を厳しく見直し、予算配分の重点化を行った」「歳入面では、来年度税制改正において、『三位一体の改革』の一環として所得税から個人住民税への3兆円規模の税源移譲を実現するとともに、経済状況の改善を踏まえ、定率減税を廃止するなどの措置を講じることとしている」と説明。これらの取り組みの結果として、「新規国債発行予定額が30兆円を下回り、一般会計の基礎的財政収支も3年連続で改善した」と述べた。
他方、谷垣財務相は、「財政が極めて厳しい状況は変わらない」とも指摘した上で、「経済財政諮問会議では、年央を目処に、歳出・歳入一体改革の『選択肢』および『改革工程』を明らかにし、来年度内に結論を得ることとしている。この『選択肢』は、国民的な議論の素材として、できるだけわかりやすく、具体的な内容とする必要がある」「現世代の責務として、国のかたちを見据えながら、将来に向けて持続可能な制度の確立をめざしたい」との考えを示した。

具体的な論点をめぐっては、日本経団連側から、まず税制について、「国際的イコールフッティングを確立すべく、法人実効税率の引き下げや減価償却制度の見直しなどに取り組むべき」「消費税については、財政の健全化を進めるにあたり、政治のリーダーシップによる適切な判断をお願いしたい」と述べた。
続いて社会保障について、「制度全体の最適をめざして改革を進めていくべき」と指摘。個別分野については、「医療制度改革に関して、2010年度の医療給付を総額30兆円以内に抑制するとの目標を設定し、計画的に取り組むべき」ことなどを主張し、理解を求めた。
行政改革に関しては、「国のバランスシートを精査しつつ、国際競争力向上の観点から取り組む必要がある」との基本的な考え方や、「今通常国会に提出予定の行政改革推進法案の確実な実施が不可欠」などの意見を表明した。
さらに政策金融の国際関係業務に関し、日本としての国の旗印が見えること、国際金融業務・円借款・無償資金協力・技術協力といった各分野が連携をとること、などが重要であると述べた。

これらの意見を受けて財務省側は、「減価償却制度の見直しについては、与党の税制改正大綱に検討事項として言及されており、研究を進めていきたい」「医療給付については、必要額を積み上げるだけでなく、何年かに一度、検証し施策を見直す仕組みの構築が必要と考えている」「国の財務諸表を取りまとめて公表しており、これを参考に、経済界からもどう役立てるかご提言をいただきたい」――と応えた。

【経済本部経済政策担当】
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