日本経団連タイムス No.2801 (2006年2月16日)

経済政策委員会開く

−「日本経済の現状と展望」、内閣府・広瀬大臣官房審議官から聴取


日本経団連の経済政策委員会(井口武雄委員長)は7日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、内閣府の広瀬哲樹大臣官房審議官(経済財政分析担当)から、日本経済の現状と展望について聴いた。

はじめに広瀬審議官は、日本経済の現状について、「消費や投資等の国内民間需要主導で成長を続けている」と指摘。この背景として、企業部門の体質強化を挙げ、「企業は設備、雇用、債務の3つの過剰から抜け出し、損益分岐点比率はバブル後最低水準に達している」と述べた。
また、「企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる」とした上で、先行きについては、「2006年度の実質成長率は前年度比+1.9%程度、名目成長率は同+2.0%程度」との政府見通しを紹介した。同時に、デフレ脱却が課題であるとして、「政府・日銀が一体となった取り組みを行うことで、デフレ脱却に向けた展望が開ける。デフレ脱却の判断は、物価やその背景を総合的に考慮し、慎重に行う必要がある」とした。

一方で、留意すべき点として、(1)米国では、市場予測を上回るペースで雇用者数が増加しており、FRB(連邦準備制度理事会)による追加的な利上げが続く可能性が高まるなど、金利の先行きが不透明であること(2)中国では、貿易黒字が拡大する中で、人民元レートは横ばいで推移しているため、外貨準備高の急増による国内流動性の拡大と景気の過熱が懸念されること――を挙げた。
また、「国内でも、企業規模や地域により、景況感に差異がみられる」と説明した。具体的には、(1)中小企業の業況は緩やかに改善しているものの、大企業と比較して取り巻く環境はいまだ厳しい(2)有効求人倍率は回復しているものの、地域差がみられる――ことを指摘。「政府として、景気回復の動きを地域や中小企業にも広く浸透させていきたい」と述べた。

最後に、広瀬審議官は、経済財政諮問会議の議論を紹介した。具体的には、昨年末に総人件費改革基本方針、政策金融改革の基本方針、政府資産・債務改革の基本的な方針等を取りまとめたことを説明した上で、今後の課題として、「(1)日本経済の生産性を高め、国際競争力向上を図るための『グローバル戦略』を議論し、本年春を目処に取りまとめる(2)2010年代初頭における国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化をめざして、『歳出・歳入一体改革』の検討を進め、年央を目処にその選択肢および改革工程を明らかにする」ことを挙げた。

【経済本部経済政策担当】
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