日本経団連タイムス No.2802 (2006年2月23日)

「攻めの行政改革」へ提言公表

−国家の競争力強化の観点からさらなる改革求める


日本経団連(奥田碩会長)は14日、「国家の競争力強化を目指した『攻めの行政改革』の実現を求める」と題する提言を公表した。「行政改革推進法案(仮称)」(以下、推進法案)への期待として理念規定の整備など4つの事項について言及するとともに、中長期的な観点に立った行政改革を実現する観点から、行政改革に関する基本法の制定を求めている。同提言の主な内容は次のとおり。

<有識者会議の設置を要望>

行政改革推進委員会では、従来、国家としての競争力強化という視点に立脚した検討を行っているが、今回の提言は、政府が「行政改革の重要方針」の着実な実施に向け、3月上旬に推進法案を通常国会に提出する予定に合わせて発表したもの。全体は2部構成となっている。政府の取り組みを全面的に支援する姿勢を表明。法案の速やかな策定と早期成立を求めている。また、行革の推進にあたって、その目的や決意を理念に明記する重要性を強調。「絶えざる行政改革の推進」など4つの視点について、その趣旨を理念規定に活かすよう訴えた。
さらに、構造改革の実行には行政に対するガバナンスの確立が不可欠であるとして、改革の実施状況をフォローアップする民間人主体の有識者会議の設置を要望した。その他、スピード感ある改革の実現のためのスケジュールの前倒しや、公務員制度改革に不可欠なオープンな議論の場の早期設置についても提案している。

<行革基本法の必要性を提言>

提言の後半では、グローバル化が加速し、中国、インドなどが台頭する中、人口減少社会に直面するなどの内外情勢の大きな変化を指摘、経済の縮小均衡を回避するためには、官民を問わず生産性の向上が必要との問題意識を披瀝。「官から民へ」を基本とする「小さくて効率的な政府」をめざした改革に加え、国家の競争力を強化する観点に立った改革の重要性を改めて強調した。
そのため、将来を見据えたあるべき国家像を確立し、政治主導の下で内政・外政を含めた中長期的な国家戦略を描きつつ、国家運営の選択と集中が必要とした。また、行政に対するガバナンスの確立に向けた透明性の確保や、官の質の向上についても言及している。

こうした改革を行い、日本経済を新たな成長へと引き上げていくためには、「攻めの行政改革」ともいうべき官の構造改革が必要である点を指摘、法的基盤を整備する観点から行政改革に関する基本法の制定を求めている。さらに、基本法の策定に向けて、「抜本的な公務員制度改革」など6点に及ぶ残された行政改革の課題を列挙した。行政改革推進委員会では、今後、これらの課題について、鋭意、検討を進める予定。

【産業本部行革担当】
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