日本経団連タイムス No.2803 (2006年3月2日)

日本・香港経済合同委開く

−新たな日港経済連携の展望などテーマに論議


香港での日系企業の活動も

日本・香港経済委員会(新町敏行委員長)と香港・日本経済委員会(ビクター・ファン委員長)は2月15日、香港で第28回日本・香港経済合同委員会を開催した。

昨年1月の東京会議から約1年ぶりの開催となった今次会議では、日本側から中国・香港ビジネスの最前線に立つ経済人約40名が、香港側からは企業のトップ約20名が参加し、熱の入った議論を繰り広げた。
今回の会議の主な議題は、「香港の経済情勢と貿易の展望」「日本経済の現状と香港での日系企業の活動」「新たな日港パートナーシップに向けて」など。

1997年の中国返還以降、香港については、アジア通貨危機やSARSなどの経済的打撃を受けたことと、中国のWTO加盟によって対中ビジネスのゲートウェイとしての機能を失う可能性などから、その存在意義が弱まるとの見方があった。しかし会議の冒頭で香港側参加者が、香港経済の基盤を支える4つの柱、すなわち、貿易・流通、金融、観光サービス、生産サービスが健全な成長を遂げ、2004年以来の好況を維持していると報告。さらに、堅調な個人消費と好調な輸出という追い風を受け、05年は6〜7%の成長率を達成する見込みであると、元気を取り戻した香港経済について説明した。

今回の会議で、最大のポイントとなったテーマは、急速に拡大する華南地域における製造業などに対応する日本と香港の経済連携の展望について。香港側が会議を通じて強調したのは、広州、深センなどの華南地域のみならず、人口4億5000万人を抱える汎珠江デルタ地域、いわゆる9+2と呼ばれる地域へのビジネスの窓口として香港を位置づけ、その経済機能の拡大を志向したいとの点である。香港は、長年の歴史を通じ、日本、中国双方からすでに厚い信頼を得ていることに加えて、欧米、中国双方の言語やビジネス文化を理解するという優位性を持つことからも、WTO加盟後の中国において、物流、金融、マネジメントの拠点として中心的な役割を果たしたいとの意向を示した。また、香港企業は環境問題などにも真剣に取り組み始めており、日本企業がこれまで行ってきた環境対策に関心を寄せ、研究が進められていることを明らかにした。

会議全体を通じて参加者からは、「対中ビジネスにおいて香港は上海などとは別な役割を持つ」「日本の高い技術力や企画力と、香港の持つ中国への親和性を組み合わせることができれば、大きな相乗効果が期待できる」などの意見が示された。
双方の委員会は、引き続き関係を密なものとすることを確認し、会議を終了した。次回は来年、東京での開催を予定している。

【国際協力本部アジア担当】
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