日本経団連タイムス No.2804 (2006年3月9日)

フォーラム「マータイさんと語るMOTTAINAIと自然保護」

−日本経団連自然保護協議会が開催


日本経団連自然保護協議会(大久保尚武会長)は毎日新聞社と共催で2月21日、東京・大手町の経団連会館でフォーラム「マータイさんと語るMOTTAINAIと自然保護」を開催した。会場には、昨年から「もったいない」運動で世界的に活躍しているケニア共和国環境副大臣のワンガリ・マータイ氏の講演を聴こうと、300名を超える参加者が集まった。

開会あいさつで大久保会長は、ケニアにおける植林活動(グリーンベルト運動)を通じ、環境問題と社会問題の改善に貢献、昨年ノーベル平和賞を受賞したマータイ氏の事績を紹介するとともに、マータイ氏が昨年来日した折に知ったことば「もったいない」を自然環境保護のキーワードとして世界中に広めていることに対して、感謝の意を示した。

民間セクターが自然環境保全運動の担い手に/マータイ・ケニア環境副大臣が重要性強調

マータイ氏は基調講演「MOTTAINAIと自然保護」の中で、昨年来日し、何人かの日本人と話した中で、敬意と感謝を持って、与えられるものを受け取るという意味のことばである「もったいない」を知ったこと、このことばが世界のさまざまな文化の中に存在する同じ概念を引き出す上で、知的刺激となるだけでなく、心の琴線に触れて感情的な刺激となると考えたことを披露。地球上の限りある資源を、敬意と感謝を感じつつ有効に活用し、次の世代にも伝えていく環境保護・自然保護活動を進めていくのにふさわしいことばであると述べた。
また、マータイ氏は自然環境の破壊、資源の枯渇が、紛争・戦争の原因となることや、自然環境破壊・資源枯渇で真っ先に被害をこうむるのは女性であることを強調。自然環境保全に意を用いるような正しい統治のできる政府を選挙で選べるような、社会改善と教育の必要性を訴えたほか、企業など民間セクターが自然環境保全運動の担い手となることの重要性を説いた。その理由としてマータイ氏は、開発途上国の政府がともすると、直接投資や雇用を優先するあまり、自然環境への配慮を欠く場合があることを指摘。企業がこれに便乗することなく、きちんとした国際的行動規範を示すべきであるとした。
最後にマータイ氏は「政府の活動だけに任せるのではなく、私たち一人ひとりが自分の『もったいない』を発見することが、平和な未来とよりよい自然環境を築く」と講演を締めくくった。

フォーラムではこのほか、企業とNPOの自然保護活動の事例として5つのケース(ICA文化事業協会コーディネーター・佐藤奈緒美氏、マサイマラ環境保全プロジェクトチーム代表・小黒一三氏、サパ=西アフリカの人達を支援する会事務局長・野澤眞次氏、損保ジャパン環境財団コーディネーター・山中千花氏、日本経団連自然保護協議会企画部会部会長・トヨタ自動車環境部企画グループ担当部長・西堤徹氏)の報告があった。

同フォーラムに先立ちマータイ氏は、デニス・ノエル・オドゥヤ・アウォリ駐日ケニア共和国大使らとともに、日本経団連の奥田碩会長や大久保会長をはじめとする日本経団連自然保護協議会の役員と懇談、グリーンベルト運動について説明する一方、自然保護協議会の活動状況や日本企業の自然保護活動の取り組みなどを聴いた。

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