日本経団連タイムス No.2805 (2006年3月16日)

クルース欧州委員と懇談

−経済成長、雇用確保の環境整備へ/競争政策の重要性強調


日本経団連は6日、東京・大手町の経団連会館で、ネリー・クルース欧州委員(競争政策担当)との懇談会を開催、日本経団連からは米倉弘昌副会長・ヨーロッパ地域委員長らが出席した。

欧州委員会の役割なども説明

懇談会の中で、クルース委員は「競争力は、ビジネスのキーワードである」と述べ、競争政策担当欧州委員の役割を「4億5000万人の人口を擁し25カ国が参加するゲームのレフリー役」にたとえるとともに、欧州委員会の役割については、加盟国独自で行うことのできない政策により、「資本」「財」「サービス」「人」の4つの、域内での自由移動を保障することであると説明した。
またクルース委員は「欧州委員会は経済成長、より質の高い雇用確保という課題を抱えている」とし、競争政策が、これらの環境を整備する上で極めて重要となる政策ツールであることを指摘。
「競争相手がいるからこそ、企業はイノベーションを行い、幾多の努力を重ねていく」との考えを示した。

さらに、欧州委員会競争政策部門が、市場競争を確保するために、(1)反トラスト、カルテルの防止、(2)グローバル企業のM&A、(3)国家援助――の3つの課題を精緻に考察し、公正な競争条件を確保する必要性に迫られていることを説明した上で、「欧州では95%の企業が中小企業であり、欧州経済の原動力になっている。中小企業や大企業、大学、研究機関の間の連携を深めていくことが重要である」と述べた。

【国際経済本部欧州・ロシア担当】
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