日本経団連タイムス No.2805 (2006年3月16日)

資源・エネルギー対策委開催

−秋山エネルギー総合工学研究所理事長と懇談/今後の課題など聴く


日本経団連は6日、東京・大手町の経団連会館で、エネルギー総合工学研究所の秋山守理事長を来賓に招き、資源・エネルギー対策委員会(秋元勇巳委員長)を開催した。秋山理事長は、「未来を拓くエネルギー技術」と題して、超長期エネルギー技術戦略のあり方について約1時間にわたって講演し、その後、出席者と意見交換を行った。
秋山理事長の講演の概要は次のとおり。

1.エネルギー技術の重要性

エネルギーは国家存立の基盤であり、技術は日本の戦略資源である。資源に乏しい日本は、技術の活用により、政策目標を実現できるのであり、次世代に向けて技術開発力の維持向上を図ることが必要である。エネルギー供給構造の改善にも、日本の技術開発が貢献している。例えば、省エネ、太陽光発電導入量などは世界で最高水準にある。
技術をめぐる政策環境は、これまでの市場原理の偏重からセキュリティへと重心が変わりつつある。地球環境問題は、ポスト京都議定書の国際的取り決めの先行き不透明感がある。また、昨年末に策定された第3次科学技術基本計画では、エネルギーは「推進分野」の1つには取り上げられているものの「重点推進分野」には含まれていない。エネルギー技術は戦略的資産として重点的に推進されるべき技術分野である。

2.「超長期エネルギー技術ビジョン」の策定

昨年8月、経済産業省は「超長期エネルギー技術ビジョン」を取りまとめた。将来のあるべき社会像を提示し、検討にあたっては、資源と環境について厳しい制約条件を置いた上で、2100年までを展望して、そこからバックキャストする手法を採用した。また、2100年でも安定的な供給が可能と考えられる石炭、原子力、再生可能エネルギーを3本柱として設定した。その上で、有望技術の抽出を行った。産業分野では物質・エネルギー再生プロセスの実現、民生分野では省エネルギーおよびエネルギー・マネジメントによる自立化、運輸分野では自動車のゼロエミッション化、転換分野ではゼロエミッション・エネルギー供給などの重要性を指摘し、それぞれについて技術開発に係るロードマップを作成した。
今後の課題としては、短・中期的な視点(フォアキャスティングによるロードマップ)との整合性を確保することが必要になる。さらに、重要技術課題の評価および優先度の検討を行い、状況変化を踏まえた定期的な見直しを行っていかなければならないとしている。

今後同委員会では、5月を目途にエネルギー安全保障に係る提言の取りまとめに向け、さらに議論を深めていく予定である。

【環境・技術本部エネルギー担当】
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