日本経団連タイムス No.2810 (2006年4月20日)

最近のトルコの政治経済情勢に関する懇談会開催

−ウナイドゥン駐日大使が現状説明


日本経団連は3月27日、東京・大手町の経団連会館で、最近のトルコの政治経済情勢に関する懇談会を開催、日本トルコ経済委員会やヨーロッパ地域委員会、中東・北アフリカ地域委員会の委員らが出席した。
懇談会では、駐日トルコ共和国特命全権大使のソルマズ・ウナイドゥン氏が講演を行った。

この中でウナイドゥン大使はトルコの現状について、「2005年後半から06年にかけて、トルコは世界的な関心を集めている。トルコのEU加盟交渉は進展しており、経済も拡大している」と説明。さらに、(1)05年のGDP成長率は、04年の9.9%からは低下したものの、目標の5%を上回る約6%となった(2)インフレ率は、93年から02年までの平均が70%にもなったが、05年には7.7%に下がった。06年の目標は5%である(3)公的債務はIMFプログラムの下で減少している(4)財政面も改善しており、金融ショックが起きた場合の耐性も高まっている(5)経常収支赤字はエネルギー価格の高騰を背景に拡大し、05年にGDP比で6%となっている――とトルコの経済情勢を紹介した。
また、海外直接投資の流入が急増していることを挙げ、トルコが戦略的要衝の位置にあることや、政情が安定していることによって、海外の投資家の注目を集めているためであると指摘。さらに、民営化プログラムの成功により、金融部門のクロスボーダーの企業買収が活発化し、これが海外からの直接投資流入増大の2つ目の要因となったと述べた。
ウナイドゥン大使は、「トルコ経済は今後さらにダイナミックに拡大し、地域におけるビジネスの中心地となることをめざしている」と述べ、「そのために日本の投資家とのシナジー効果を発揮させたい」と語った。

今年1月の小泉首相のトルコ訪問については、「(大使の在任期間中の)3年間のハイライト」とした上で、「両国の交流促進や、中東和平、イラク復興支援、第三国との協力推進が強調された」と評価。小泉首相がトルコ滞在中、トルコに駐在する日本人ビジネスパーソンと懇談して、トルコにおけるビジネス機会について説明を受けたことなどを紹介した。
このほか、(1)自動車部品、エレクトロニクスの分野でも、トルコへの投資を検討する企業が増えている(2)第三国に対する日本とトルコの協力も拡大している(3)昨年の日本経団連の米倉弘昌副会長をトップとするミッションのトルコ訪問も両国の経済関係強化につながった(4)日本の投資家のトルコ関連の金融商品に対する関心も高まっている――などと述べた。

最後に大使は、「現在、トルコと日本の間には非常に良好な協力のムードができあがっている。このムードを活用してさらに協力を促進したい」と結んだ。

【国際経済本部欧州・ロシア担当】
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